長編

015 スターちゃん

 ゼニスケは、スターちゃんと名乗る少女へと変わってしまった。 更に生放送を続けながら、画面に向けて手を振っている。 画面の端には、スターちゃんに興味がないのかのように、先ほどの女性が離れていくのが映っていた。『今日はちょうど手に持っているコ…

014 新たな情報

 そういえば今更ながら、瑠理香ちゃんが何故音楽準備室にいたのか、とても気になった。 秘密基地の案内が終わり、丁度いいこともあって俺は瑠理香ちゃんに理由を聞いてみる。「えっと、音楽で使うリコーダーが何故か無くなっていて、学校のリコーダーを借り…

013 秘密基地を探検

 少し遅い昼食を終えた俺たちは、今後の方針を決める前にこの秘密基地内を鬱実に案内してもらうことにした。 というのも、ここに来てから俺はこの秘密基地内が気になって仕方がない。「ふふ、凛也君にあたしのすべて、見せてあげるね」「ああ、秘密基地内の…

012 姉妹の再開

 住宅エリアはその後何事もなく、裏山まで俺たちはやってくる。 そのころには瑠理香ちゃんも少しずつ歩けるようになり、ようやく背から降りた。 いや、鬱実がうるさいので、結果として降りてもらうしかなかったのだが。「お姉ちゃん!」「瑠理香!」 そし…

011 帰りの道中

 団地エリアを無事に抜けると、公園エリアにやってくる。 行きの時は、公園に先ほどの女生と同じタイプの存在がベンチに座っていた。 しかし今はその女性すらいなくなり、とても閑散としている。 そういえば、漢田さんたちがこっちの方から来たことを俺は…

010 団地エリア

 来る時は、団地の裏にある茂みの中を隠れて通ってきた。 だが今は背中に瑠理香ちゃんがいる。 当然、茂みの中を移動することは不可能だ。「瑠理香ちゃん、そろそろ歩けそうか?」「す、すみません。まだ無理そうです」 瑠理香ちゃんはそう言って申し訳な…

009 絶体絶命のピンチ

「みんな~この不審者さんはロリ―ちゃんが最初に見つけたんだから、勝手に手を出しちゃだめだよ~?」 自分のことをロリ―ちゃんと言う少女は、ニヤニヤ笑みを浮かべながら俺を指さす。「え~ずるいよ~」「おうぼーだー!」「あたしもお兄ちゃんとあそびた…

008 瑠理香ちゃん救出

 そろそろ時間か。 茂みに隠れること15分。俺は団地エリアから中学校に向かい始める。 周囲に人影はない。 遠くには人影が見えるが、距離があるので大丈夫だろう。 よし、行くぞ。 俺は軽く息を吐くと、茂みから出て公道を進んでいく。 そして団地エ…

007 中学校までの道中

「凛也先輩……瑠理香を、よろしくお願いします」「ああ、任せておけ」 心配そうな表情を浮かべる夢香ちゃんに、俺は親指を立てて答える。「凛也君、あいつらに見つかったら逃げることよりも、臨機応変に対応するようにね?」 鬱実は心配しているのか、そう…

006 助けに行く理由

 何を言っているんだろうか? そんな風な視線を俺は受ける。 確かに夢香ちゃんは危なくて、俺が大丈夫だとは言えない。 正直命は惜しいし、とても怖かった。 だが、この中で行くとすれば俺しかいない。 夢香ちゃんは運動が苦手だと以前聞いたことがある…

005 一息と新たな問題

 おそらく鉄製であろう梯子を先に降りる俺。 そこでふと思う。 今上を見たら、夢香ちゃんの下着が見えるのではないかと。 いや、そんな馬鹿なことをしている場合じゃない。 そのまま上を見ること無く、俺は梯子を降りきった。「まじかよ……」「す、すご…

004 学校から脱出

 この学校は、もうだめかもしれないな……。 下駄箱を目指す俺たちは、一つの教室の前を屈んで通り過ぎる。 出入口のドアにある小さな窓からこっそり教室を覗くと、大勢の少女たちが授業を受けていた。 一クラスの男女比はおおよそ半々なので、全員が少女…