サイコキラーとラーニング

024 ここは俺に任せて先に行け!

「なんだいありゃ……」「ひぃっ!」「あ、あれはオーガなんだな!」 奥平がモンスター眼鏡で鬼の名称を叫ぶ。その正体は、オーガというモンスターだった。 だめだ。あいつはヤバすぎる。体中が逃げろと本能的に叫んでいる。だが、それでも……。「あれはど…

023 宝箱の中身

 何が起きてもおかしくはない。 そう考えた俺は、即座に何が起きてもいいように身構える。だが、しばらく経っても特に変化はなく、罠が発動した様子は見られなかった。「ぶひゃひゃ! お宝なんだな!」 すると、奥平が何やら一枚のカードを手に歓喜する。…

022 第二の試練『勇気の吊り橋』

「場合によっては、敵を倒すよりも先に吊り橋の死守を優先する必要がある」「確かにそうですね。落ちちゃったら終わりなわけですし」 むしろ、敵よりも吊り橋の死守をメインにしてもいいくらいだ。「むむむ、僕ちんの火魔法イターラじゃ吊り橋の縄を燃やして…

021 奥平の秘密と第二試練決定

「僕ちんの最強伝説の始まりなんだなぁ!!」 待合室に戻ってくると早々、奥平がどや顔で自画自賛をし始めた。 確かに最後役に立ったのは認めるが、目の前のこいつを見ていると、何だか釈然としないな……。「あんたが凄いのは分かったよ。けれど、少しは落…

020 数百の矢の雨

 流石にあの数が一気に来るとすれば、避け切れる自信がないぞ。 俺は頭上の光景に思わず舌打ちをしてしまう。更に、数百の矢は直ぐには落ちてこず、姫紀の作り出した光の結界が消えるのを待っているようだった。「この試練を考えた奴は、クリアーさせる気が…

019 第一の試練『千の矢』

 試練が決定されると、少しして俺を含めたパーティメンバーは、見知らぬ荒野に転移していた。周囲には山と大小さまざまな岩が転がっている。 そして上空には、大きな文字でカウントダウンが開始されており、十秒後には試練が始まるようだった。「とにかくみ…

018 初めてのイベント

 時間が来ると、俺は先ほどのスタジアムではなく、テーブルや向かい合わせのソファー、壁掛けの巨大モニターなどが設置されている待合室にいた。 ここは……。 周囲を見れば、俺と同じように現れたプレイヤーらしき人物が三人いる。 まずは左に見えるのは…

017 夕食の時間

 無事借りた木製のナイフ二本を返却してホームに帰還すると、いつもの通り汚れが消え去り、更には多少斬り飛ばされた耳や尻尾が再生していることに気が付く。 もしやと思って直接確かめてみたが、本当に再生しているとは……だから斬り飛ばした張本人である…

016 練習相手

 クエストを始めると、視界にはグラウンドの茶色い地面が広がっていた。右方向には巨大な屋敷があり、練習相手というのが富豪か貴族なのではないかと予想してしまう。 これで相手が貴族の子供とかだったら面倒くさいなぁ……。 一瞬このクエストはハズレで…

015 ショップ再び

 ホームに戻ってくると、オークの返り血で真っ赤だった衣服の汚れが嘘のように無くなっていた。 ふう、盗賊の討伐から帰還した時も思ったが、衣服や装備品がきれいになるのは助かるな。 ブーツを脱ぎ六畳間に上がると、窓辺の椅子に腰かける。 今回は儲か…

014 オーク討伐

 目の前に広がるのは、長く続く街道に草原地帯。討伐目標のオークはおろか、人の姿も見えない。 さて、制限時間は一時間しかないし、さっさとオークを見つけないとな。それと、今度こそクリスタルブレスを実際に使って威力を確かめることも忘れないようにし…

013 チャラ男の告白

「……何か用?」 俺はいつの間にか観客席まで移動してきたチャラ男を前にして、若干嫌な予感がしつつもそう返事をする。「俺ちゃんが勝つところ見た見た? ちょーかっこ良かったっしょ? つまり、どんな奴が来ても俺ちゃんなら君のこと守ってあげらちゃう…