長編

036 国境の砦

 俺は今、旅人を装って街道を歩いている。 目的地は、目の前の砦だ。 お供には、赤い布を巻いたグレイウルフが一匹。 ここを通る商人集団にも、モンスターはいた。 なので逆に一匹くらい連れていた方が、旅人と言っても違和感がない気がする。 そしてよ…

028 最悪の予想

 イベントの二日目を迎えた早朝、俺と後から目覚めたペロロさんは朝の支度を終えた。 やはり水を自由に使えるというのは、サバイバルではかなりの利点だろう。 まだ戦闘ではあまり使えないが、こうした場面では役に立つ。 そして身支度を整えて、俺とペロ…

035 自問自答の末に決めたこと

 あれから俺は移動を続け、数日ほど野宿を繰り返した。 村や町には、滞在していない。 仮に追手がいた場合、それが俺の|痕跡《こんせき》になってしまうからだ。 幸い幸運の蝶の戦争用物資が大量にあるので、俺一人なら数か月くらいは余裕で野宿できる。…

034 国境門を越えた先

 国境門を越えると、そこは草原だった。 壁はなく、広々としている。 だが当然、そこには待ち構えている存在がいた。「ぐるるる!」「ぎゃおーん!」「がぐるが!」 見渡す限りのモンスターが、俺を取り囲んでいる。 上空にも、何体ものモンスターが円を…

027『ロリコンと鏡の森ダンジョン』専用スレ1

 イベントが進み始めると、プレイヤーたちの中から脱落者が生まれる。 脱落者となったプレイヤーは、自室で推しのプレイヤーの放送を見たり、イベント専用の放送を覗いている。 イベント専用の放送は、ダンジョンごとで特に活躍した集団をピックアップして…

第一章終了時点でのステータスや設定など。

 こちらは、第一章終了時点のステータスや設定になります。 今後の展開では、多少の変更があるかもしれません。 またもしかしたら、いくつか記入ミスがある可能性もあります。 参考程度に見て頂けると、助かります。 なので、その点にはご注意ください。…

033 復讐の果てに

「そ、そうか。お前は魔王なのか! そして俺は英雄、いや勇者になる! これは試練だ。主人公の俺が乗り越える試練なんだ!」 すると立ち上がったタヌゥカは、そう言って手放していなかった剣を振るう。 剣は眩く光っており、おそらく撃滅斬を放つと思われ…

032 タヌゥカの本性

 そういえばタヌゥカは、異性好感度上昇(大)というエクストラを持っていたな。 勝手に発動するパッシブ効果だと思っていたが、意図的に発動することもできるのだろう。 エクストラだし、そうした隠し効果があってもおかしくはない。 特にタヌゥカはハー…

031 国境門に到着

 シルダートの街を出て南へと進む。 国境門は、徒歩でおよそ半日の場所にあるらしい。 乗合馬車も出ているようだが混んでいるのに加えて、臭い・汚い・痛いの三重苦なので乗らなかった。 特にプリミナが嫌がったし、俺も以前乗ったときの記憶があったので…

026 ペロロは夢の中

 僕の名前は、|小山内《おさない》ペロ。 現在では、幼精紳士ペロロと名乗っている。 名称からも分かる通り、僕はロリコンだ。 加えて、ナルシストでもある。 鏡に映る自分の姿は、この世で一番可愛らしい。 だから元々男には興味は無いし、間違っても…

030 戦争準備と連携確認

 街に戻ると、パーティで借りている家があるという。 中心地から外れているが、治安は良い方らしい。 着けば庭付きの一軒家であり、それなりに大きく見えた。 客用の部屋があるので、パーティに加入している間はそこを貸してくれるようである。 加入した…

029 魔力欠乏症

「……お、おい! 大丈夫か!」 飛び出してきたのは、一人の男性冒険者だった。「もしかして、あの時の少年か!? いったいなにがあった!」 よく見れば男は以前俺に二層目の情報を教えてくれて、そのお返しにマッドクラブを渡した男のようである。「魔力…