僕の名前は、小山内ペロ。
現在では、幼精紳士ペロロと名乗っている。
名称からも分かる通り、僕はロリコンだ。
加えて、ナルシストでもある。
鏡に映る自分の姿は、この世で一番可愛らしい。
だから元々男には興味は無いし、間違っても僕に触れてほしくはない。
そんな僕だけども、実は友達が欲しかった。
もちろん、ただの友達ではない。
僕の趣味と同じ、せめて近い感性の同志が欲しかったんだ。
けれども出会う人たちは皆、僕を性的な目で見てきた。
ロリコンの同志は、もちろんロリコンだからね。
これは、仕方がないのかもしれない。
ロリが好みだけど、僕を性的な目で見てこないロリコンなんて、矛盾している。
だから僕は、半ば諦めていた。
普通に、同性の友達を作ろうとも考えていた。
だけどそんな時、運命的な出会いをしてしまう。
友人探しのためにランダムパーティに参加した時、クルコン君と出会った。
そして彼が引いたダンジョンは、『性癖暴露と望まれない誘惑者』という、聞いたことがないダンジョンだ。
嫌な予感がしつつも、僕はクルコン君と他の人たちと共に、ダンジョンへと挑戦する。
けどそこでトラップに引っ掛かって、性癖を暴露することになるとは思わなかった。
まあ、僕は自分の性癖に誇りを持っているので、暴露したところで気にはしない。
それよりも、クルコン君の性癖が僕の琴線に触れた。
どうやらクルコン君は、『小柄なクーデレ妹系で、甘えたがりの絶対領域少女』が好みらしい。
僕の脳内でそれは、ロリータだと変換された。
彼はロリコンの才能がある。
なにより、僕を欲望に満ちた目で見てこなかった。
そうだ。同好の士に出会えないのであれば、自分で作ればいい。
完璧はもはや求めない。
ロリコンに矯正する途中で、僕を少しいやらしい目で見ても妥協しよう。
逆に葛藤しながらも、チラチラ見てしまうクルコン君を想像して、僕は自尊心が満たされた。
黒く濁った欲望でなければ、思ったよりも悪くはないかもしれない。
そう考えて僕は、クルコン君と友人になった。
話して分かったことは、クルコン君は思ったよりも良い人だったということ。
それに、僕の性癖に偏見もない。
これは、ますます見逃せない人物だと思った。
しかしそんな浮かれた気分だったからか、僕はクルコン君を巻き込んでトラップに引っ掛かってしまう。
これが後に、僕の運命を大きく変えることになる。
気が付けば僕は、大きなキングサイズのベッドに寝ていた。
加えて金縛りのように、体の自由が効かない。
僕は当然戸惑う。
助けを呼ぼうと声を上げようとすると、いつの間にか目の前に彼がいた。
そう、先ほどまで楽しく会話をしていた、クルコン君だ。
クルコン君は僕の事を優しい瞳で見つめると、一言こういった。
『かわいいね』と。
僕は何故か、胸がドキッとした。
そして彼は、それから僕に甘い言葉を囁き続ける。
何時間経ったのか分からないけど、頭の中がおかしくなりそうだった。
その後はクルコン君が何か言うと、僕の体は自然と動き始める。
雰囲気に流されて、僕は今思い返しても凄いことをしてしまった。
何日、何週間、もしかしたら数か月。
僕はクルコン君と……。
これまでの僕だったら、有り得ないことだった。
けど、友達になって少し良いと思っていたクルコン君に、長い間甘い言葉を囁かれれば、僕だって堕ちる。
今思えば、精神に何か作用していたのかもしれない。
それと、クルコン君の手は優しかった。
あの雰囲気で、拒絶しきれなかった僕は弱い。
そして気が付けば、いつの間にか幻覚は消えていた。
あれは脳内で見せられていた、単なる妄想だったのだろう。
クルコン君に化けたモンスターとかでなくて、本当によかった。
あんな凄い経験をしたけど、僕の体は清いままだ。
けどあのトラップのせいで、僕の性癖が歪んでしまった。
いや、ロリコンという事には変わりはないし、男に興味はない。
ただそこにクルコン君だけが、例外的に入り込んできた。
幻覚が覚めたと気づかずにクルコン君に迫ってしまったのは、今思い返しても恥ずかしい。
それとクルコン君が、僕のことを幻覚で見ていたことを期待してしまった。
けどクルコン君が見たのは、『長身な美人ヤンママ系に、甘やかされながら生の太ももに頭を乗せられて、エッチなことをされた』らしい。
それを聞いて、僕はこれまでに感じたことのない想いが胸をキュッとした。
これが、寝取られという感覚らしい。
だけど何故か胸がキュッとするのに、興奮が収まらなかった。
僕の性癖は幻覚の後だったからか、簡単に歪んでしまった。
そして、つい想像してしまう。
可愛らしい僕が、クルコン君に弄ばれている姿を。
自分が大好きすぎる僕には、これはクリティカルヒットだった。
新たな性癖と組み合わさって、取り返しのつかない沼の底へと堕ちてしまう。
だからこそ、このままクルコン君といるのは危険だと思った。
今のままじゃ、自制が効かない。
僕が逆に、クルコン君を襲うのも時間の問題だ。
そう思ったから『もうクルコン君とは組めない』と言って、距離を取った。
けどそれは、自制が効くようになるまでの間だけ。
それまでは、クルコン君の動画で我慢した。
光が邪魔するとはいえ、クルコン君が衣服を脱ぐシーンには、とても興奮してしまう。
僕はその時、猿になった。xxxxを覚えたばかりの猿だ。
そしてイベントが始まり、クルコン君が行くダンジョンが判明する。
『ロリコンと鏡の森ダンジョン』これまでのクルコン君を見る限り、碌なものじゃない。
僕好みの幼女が出て来るとは、とてもじゃないが思えなかった。
けど、これはクルコン君と再会する口実になる。
たぶん、おそらく、もう自制は出来るようになった。
だから、大丈夫。
少しずつ、僕が好みになるように矯正すればいい。
「ん……?」
僕は、不意に目が覚めた。
いつの間にか、タオルケットがかけられている。
「すんすん……クルコン君の匂いがする」
そして周囲を見れば、クルコン君が何もかけずに横になっていた。
あれじゃあ、寒いに違いない。
だけど僕は持ってくる荷物の取捨選択から、タオルケットなどは外している。
僕は小さいし、そこまで入る大きなリュックサックは邪魔になるからだ。
つまり、タオルケットはこの一枚しかない。
「これは、仕方ないよね?」
僕はクルコン君に近づくと、その上に覆いかぶさった。
「寝相が悪いだけ。そう、僕は寝相が悪いんだ」
そう言って、起きたクルコン君を脅かそうと思い、隠れるようにタオルケットをかぶる。
凄い。クルコン君の匂いに包まれて、我慢できないかも……。
やはり僕は、猿だった。
大丈夫、バレてない。バレてないよね? けど、バレてもそれはそれでいいんだよ?
気が付けば、僕は眠ってしまう。
どうやら、疲れが抜けきっていなかったみたいだ。
二日目も、クルコン君と色々したいなぁ……。
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