長編

018 国境の街シルダート

 門は既に開いていたが、何人か並んでいる。 俺もその列に並び、順番を待った。「次」 門番にそう言われたので、冒険者証であるドックタグを見せる。「ふっ、Fランクか。通ってよし」 Fランク冒険者という事で、鼻で笑われた。 コイツは低ランク冒険者…

017 街道の旅は自分の足が一番

 翌朝俺は宿を引き払い、村を出る。 空を見上げれば、よく晴れていた。 やはり雨や曇りよりも、晴れの方が好きだ。 それと今回は徒歩ではなく、乗合馬車に乗っている。  冒険者が多いので、定期的にこの村とシルダートを行き来しているらしい。 しかし…

016 街道での高速移動

 道中は今のところ、実に平和だ。 ハプンたちが追ってくることもないし、盗賊も襲ってきてはいない。 しかし天候の機嫌が悪いらしく、雨が降ってきた。 村でエーゲルたちに、あれば便利といわれた雨具を取り出して身につける。 いわゆるカッパのようなも…

021 苦難の成果

 俺は今、滝の裏にある洞窟内で正座をしていた。「クルコン君、僕は悲しいよ。いくら勝つためとはいえ、僕のお尻の処女を奪うなんて」「……申し訳ない」 あの時は仕方がなかったとはいえ、ペロロさんのお尻に尻穴爆竹の串を刺したのは事実だ。 最初は自分…

015 ハジミナ村からの脱出

 あれからハプンは、必死になってお願いしてきた。 言い訳のように、これまでの経緯を話し始める。 どうやら元々息子のハンスは冒険者であり、友人たちとパーティを組んでいたらしい。 そして身内であるハンスに、護衛依頼をしたという。 だが結果として…

014 雑談を切っ掛けに世界を知る。

 二人からお礼をもらった後は、しばらく雑談をした。 これまで何をしていたかとか、冒険者ではこういうのを注意するべきだとかを聞く。 そしてエーゲルがスキルオーブを持っていた理由も教えてもらった。 どうやらパーティでダンジョンに潜ったものの、ボ…

013 ハジミナ村に到着

 夜中は特に問題は起こらず、普通に早朝目が覚めた。 しかしモンスターの襲撃はあったみたいで、死骸が一か所に積みあがっている。 おっ、ゴブリン以外にもいるな。 グレイウルフが六匹いたので、カード化しておく。 これでグレイウルフのカードは、十三…

020 仙人ガッパ

「ぎゃぱぱ!」 仙人ガッパは、ペロロさんが疲れるまで攻撃を続けるつもりのようだった。 水の塊は慣れれば回避はたやすいとはいえ、当たればかなりの痛手を伴う。 その緊張や現状の焦りもあり、ペロロさんもずっと避け続けることは難しい。 くそっ、まじ…

012 盗賊たちの後始末

 そうして洞窟内を移動するが、やはりゴブリンたちを見て恐怖を隠せないようだ。  あの生意気なハンスも、情けなく怯えていた。 ちなみに気絶しているサマンサはハプンに背負われており、他の二名もついて来ている。 なお他の二名は、ただの旅人のようで…

011 ホブゴブリン襲撃作戦

 召喚したゴブリンたちと、ホブゴブリンを並べる。 まずは無手のゴブリンを特攻させ、続いて武器持ちを送り込むことにした。 油断を誘うためというのもあるが、ホブゴブリンの消耗を抑えるためである。 それに、最初から全軍特攻は面白くない。 ホブゴブ…

010 街道の旅

 翌朝、俺はキョウヘンの村を出て街道を歩いていた。 ベックたちとも別れを済ませており、出る前に村で必要物資も買いそろえている。 この村では朝早くから店などが開いていたので、正直助かった。 そうして今は横に一匹のグレイウルフを召喚して、歩いて…

019 真のエリアボス

「ここは……はっ!? クルコン君!」 しばらくして、ペロロさんが目を覚ました。  そして俺を見つけると、嬉しそうに近寄ってくる。「目が覚めたようで良かった。体に異常はないか?」「僕は大丈夫だよ! それよりもクルコン君こそ大丈夫なのかい?」 …