長編

057 領主邸での模擬戦 ①

 客室の一つを与えられた俺は、そこでさっそくレフに縮小のスキルオーブを使用する。 するとレフは縮小により、まるで毛長黒猫のように小さくなった。「にゃん!」 そしてレフはそんな鳴き声を上げながら、俺の足に体を擦りつける。 加えてレフから抱き上…

056 ハパンナ子爵

 翌日俺は、馬車の中にいた。 揺れも少なく、当然臭くもない。 以前乗った乗合馬車が、嘘のようである。 現在向かっている先は、ハパンナ子爵の領主邸だ。 御者は執事のセヴァンがしており、馬車の中は俺一人となっている。 それにしても、貴族との面会…

055 フュージョン

 フュージョンの仕方は簡単だ。 光っているレフのカードに、ブラックレオパルドのカードを乗せて念じればいい。 だが実行するのは、とても緊張する。 どのような結果になるのかは、未知数だ。 同じ獣系の四足獣なので、相性は悪くないはずである。 なの…

054 転移帰還場所で待ち受けていたもの

 この部屋に俺しかいないことに驚いたようだったが、初老の男性はすぐに|佇《たたず》まいを直す。「こほんっ。私は怪しい者ではございません。ハパンナ子爵に仕える執事のセヴァンと申します」「そうか」 やはりというべきか、ダンジョンの転移帰還場所を…

053 ハパンナダンジョン ⑥

 扉の先は、しばらく直進の道が続く。 そして以前と同様に、中央には豪華な宝箱がある部屋が現れた。 近くには脱出用の魔法陣もあり、この部分はダンジョン共通のようである。 流石にここまで来て罠は無いと思われるが、一応ゴブリンを召喚して開けさせた…

052 ハパンナダンジョン ⑤

 宝箱を取りつくした後も|捜索《そうさく》を続けたが、結局他のブラックレオパルドは見つからなかった。 どうやら、本当にあの一匹だけだったようである。 だが仮にブラックレオパルドが複数いた場合、明らかに難易度が高すぎるだろう。 直接戦闘になる…

051 ハパンナダンジョン ④

 種族:ブラックレオパルド 種族特性【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】【シャドーステップ】【隠密】【暗殺】【気配感知】【顎強化(小)】 黒豹、ブラックレオパルドは、正に暗殺者というべき種族特性をそろえている。 俺は剣を抜いて、意識を集中した…

050 ハパンナダンジョン ③

 おおっ、複数のものが入っているな。 宝箱の中には、合計三つのアイテムが入っていた。 一つ目はピンク色のポーション。 名称:媚薬ポーション 説明 服用することで性的興奮を高める。 これはハズレなので、スルーする事にした。 次に二つ目は、棍棒…

049 ハパンナダンジョン ②

 昨夜のマッドクラブは、大変旨かった。 塩が変わるだけで、あそこまで違うとは。 そういえば、ジョリッツの店で岩塩を削る道具が売っていたな。 普通の塩があるからいらないと考えて、岩塩も含めて買わなかった。 まあ、岩塩は簡単に手に入るようになっ…

048 ハパンナダンジョン ①

 それから召喚したスモールマウスに道案内してもらい、俺は二階層目に辿り着く。 ちなみに、宝箱は探してはいない。 人が多いし、何より一階層目ではたかが知れているだろう。 探すとしても、三階層目以降になる。 そして二層目になってお役御免になった…

047 ハパンナの街に到着

 ハパンナの街に入った後は、早々にジョリッツからの護衛依頼をギルドで完了して、二次予選の出場を申請する。 申請場所は街の闘技場であり、かなり立派だった。 訊けば、各街には闘技場が必ずあるらしい。  今回のような大会はもちろんのこと、普段でも…

046 二次予選の街に向かう

 予選は思わぬ形で終了したが、その後村長兼ギルドマスターのザッパルトより言葉をもらい、予選通過者の証である書状を渡される。 なお書状に関しては、二重取りが発動しなかった。 書状が二枚に増えても扱いに困るので、それがマイナス要素として判断され…