小説

007

 抑えられない戦闘欲に、脳内麻薬が分泌されて俺のテンションは最高潮へと達した。その瞬間、異形の化け物に対し、俺は無謀にも突撃する。 「怖い 苦しい やめて 助けて 痛い 誰か お父さん 来ないで 助けて」  異形の化け物…

006

街は倒壊した建物や瓦礫が散乱していた。雰囲気的に現代よりも古い建物が多く、また日本でないどこかの外国のような街並みだった。この物静かな場所に、モンスターなどいるのかと勘ぐってしまいそうになる。  いや、どこかに必ずいるはずだ。終了…

005

 視界が戻ると、そこはイスやテーブルの並んだシンプルな部屋だった。よく見れば、コンロや水道もあり、他にも近くのドアにはトイレと思わしきマークもある。俺が最初にいたあの保健室のような場所と比べても、十分生活感があった。  もうここを…

004

 視界が戻ると、そこは体育館ほどの広さをした場所だった。作りは先ほどまでいた洞窟と同じだったが、決定的に違うところがある。それは、俺以外にも人がニ、三十人ほどいるということだった。  とりあえず、俺は長剣の鞘をカード欄から出現させ…

003

 そういえば、今更だがどうして俺はこんなにも冷静なんだ? このゲームに送り込まれた恨みもあるし、現状の不安や恐怖もある。だが、それなのに俺は冷静に物事を判断できた。そう、まるで強制的に冷静にさせられているような違和感がある。  普…

002

それからNOを押せないまま三分経過後、俺はBADスキル【戦闘狂】を習得してしまった。 「はぁ……」  あまりの幸先の悪さにため息を吐きながら画面を見ていると、何やら文章が複数表示される。 「え? まじか!」&n…

001

「なあ、オルガゲームって知ってるか?」「オルガゲーム? なんだよそれ?」  俺、|風音緋人《かざねあかひと》が教室で一人突っ伏していると、不意にそんな話声が聞こえてきた。 「何でも、邪神オルガってのが開催するデスゲームの…

010 邪神のお気に入り

『こういうイレギュラーがいるからこそ、ゲームは面白い! 程よく狂っているのも実に良いよ!』 邪神はどこか嬉しそうに、一人でそう盛り上がり始める。『ふふふっ、そうだ、君にはこれを授けよう! うん、これ以上ないほどの適任者だ!』 すると、邪神の…

009 偽善心の代償

「な、何が起きたっすか!?」 そんな状況に、ようやく少女が顔を上げる。「よかったな。お前を養ってくれる奴が三人も現れたぞ」「む、無理っす! どう考えても情欲に|塗《まみれ》れているっす! きっと連れていかれたら酷いことされるに決まってるっす…

008 野良犬少女に餌付けした結果。

 この村は、思ったよりも規模が大きい。といっても、村にいるプレイヤー全てが泊まれ宿は当然無いし、村人よりも多いことを考えれば、よくこの数を村に受け入れたな。いや、そもそも、プレイヤーたちは村の中で出現したから、受け入れるしかなかったのか? …

007 スキルと称号

 それにしても、あの女性の作戦は英雄願望のあるプレイヤーが、面白いほどよく引っかかったのだろうな。 先ほどの集団、VRMMO風で言えば|PK《プレイヤーキル》集団のことを思い出しながら、俺は森の中を進む。 そういえばあの集団、プレイヤーネー…

006 プレイヤー狩り狩り

 結局、町では死に戻りの復活地点を変更しなかったな。しかし、別にあの町を拠点にするつもりはないし、そう頻繁にいくつもりもないから別にいいか。 そんなことを思いつつ、街道を歩いていると、周囲には魔物を狩るプレイヤーが数多くいた。「くらえ! フ…