1.『あらすじ』
魔王が倒されてから四年。平穏を手にした王国は亡き勇者を称えるべく、数々の偉業を文献に編纂する事業を立ち上げる。かつて仲間だった騎士・レオン、僧侶・マリア、賢者ソロンから勇者の過去と冒険話を聞き進めていく中で、全員が勇者の死の真相について言葉を濁す。「何故、勇者は死んだのか?」勇者を殺したのは魔王か、それとも仲間なのか。王国、冒険者たちの業と情が入り混じる群像劇から目が離せないファンタジーミステリ。
引用:ザ・スニーカーWEB
※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。
2-1.『レビュー』
魔王を倒し、世界に平和を取り戻した勇者アレス・シュミット。
しかしその勇者は、魔王討伐後に亡くなってしまった。
報告では魔王討伐後、勇者アレスは魔人に殺害されたとなっている。
だがそれには疑問が残り、様々な憶測が飛び交う。
曰く、勇者パーティの誰かが殺害した。
曰く、王族や貴族が勇者を邪魔に思い葬り去った。
曰く、魔王との戦いの傷や呪いが原因で亡くなった。
そうした噂の中で王女アレクシアは、勇者の偉業を文献に編纂するという程で、真相を探り始める。
勇者パーティであった三人にも、聞き取りを始めた。
剣聖、レオン・ミュラー。
大賢者、ソロン・バークレイ。
聖女、マリア・ローレン。
三人から話を訊く内に、次第に勇者アレスの実態が浮かび上がっていく。
それはどれも市政に流れる勇者像とはかけ離れたものであり、ただ愚直に努力し続けた凡人のそれだった。
また三人は彼のことを友と呼び、そこに悲壮感はない。
そしてアレクシアは最終的に勇者アレスの故郷の村へと辿り着き、勇者死亡の真相へと迫っていく。
果たして勇者アレスを殺したのは、いった誰なのであろうか。
2-2.『感想』
この小説は魔王の討伐後に勇者が死亡してしまい、誰が殺したのかその真相が次第に解明されていく物語になっています。
魔王を倒し、世界を救った勇者アレス君。
しかしその帰りに、何者かに殺されてしまいます。
一応魔人にやられたことになっていますが、様々な憶測が飛び交いました。
その中で王女アレクシアさんが、その真相を探っていく感じです。
生き残った勇者パーティ三人にも、勇者アレス君について聞き込みを行いました。
またそもそも前提として、何故アレクシアさんが真相を探っているのかいうと、それには理由があります。
元々勇者が魔王を討伐に成功した場合、王女と結婚して次の王様になることが約束されていたからですね。
そのこともあって平民の勇者が王様になることを嫌がった貴族などが、勇者を殺害したのではないかという噂も出回っています。
私も読んでいて、当初はそうした陰謀に巻き込まれたのかと思いました。
しかし読み進めていく内に、意外な展開や、予想外な出来事が起きます。
また勇者というものについて、認識が変わりました。
才能が無くても何事も諦めず、目標に向かって努力し続ける。
そして挫けぬ心を持ち、仲間との熱い信頼で結ばれている存在。
文章で表すとこんなものかと思われるかもしれませんが、実際にこの作品を読んでみると大切なことだと分かります。
加えて読み終わった後に再度読み直すと、前半の印象が変わりますね。
この一冊で作品は完結していますが、完成度がとても高いです。
正直、アニメ化して欲しいくらいですね。
勇者を題材にしたミステリーは、初めて読みました。
後日談的な感じで、後一冊出してほしいのですが、難しいでしょうか?
ですが逆にこれで終わっているからこそ、良いというのもあります。
難しい問題ですね。(^-^;
もしもこの作品を買うか悩んでいるのであれば、絶対に読んでみることをおススメします。
おそらく想像している何倍も面白いはずです。
特に後半からはヤバいですね。
前半の伏線も回収されて、面白さが一気に増します。
読んで良かったと思える、そんな一冊でしょう。
予想外の展開を迎える勇者殺害のミステリーに興味がある方は、是非購入を検討してみてください。
※追記:二巻の制作が決まったそうです! おめでとうございます!
3.『今回のレビュー書籍』
- タイトル:誰が勇者を殺したか
- 著者:駄犬
- イラスト:toi8
- 発売日:2023年9月29日
- 定価:748円(本体680円+税)
- 発行:KADOKAWA
- レーベル:角川スニーカー文庫
よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。
4.『関連書籍』
【著者:駄犬の別作品】
- モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件 (GCN文庫)
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