【レビュー】大っっっっっっっっっっ嫌いなアイツとテレパシーでつながったら!? 1【感想】

1.『あらすじ』

ドキドキすると心の声が勝手に送信されてしまう!?

「やっぱり僕は君のことが――大嫌いだ」
「気が合って嬉しいわ。私もあなたが大嫌いよ」

地上900mの赤坂タワーが見下ろす経済特区・東京都白銅区の学園で、高校一年生の有栖川譲と赤坂彼方は毎日毎日いがみ合っていた。

だが二人は実はテレパシーでつながる「不正能力者」。権力の不正を裏付ける存在として、正体がバレれば国中から追われてしまう!
しかも能力は時空を超えて!? 最悪の事故から始まる襲撃、誘拐、逃避行。

特区を支配する大企業、暗躍する公安警察、陰謀論――絡み合う思惑から逃げながら、運命共同体の二人は距離を縮めては反発し……心拍数とともに加速するSF×青春×逃避行アクション、開幕!

引用:MF文庫J

※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。

2-1.『レビュー』

 経済特区・東京都白銅区の頌明しょうめい学園に特待生として、主人公有栖川譲ありすがわゆずるは通っている。

 そんな譲には、六年前からテレパシーで繋がっている相手がいた。

 気になるその相手は、日本最大の企業グループを経営する旧華族赤坂家の本家後継ぎ、赤坂彼方あかさかかなたである。

 しかしテレパシー、通称交信は、心拍数の上昇により勝手に起きてしまう。

 その結果お互いの声が雑音になり、関係は最悪の一途を辿っている。

 お互いがお互いを嫌っており、喧嘩けんかが絶えない。

 そんな二人は、彼方が留学から日本に帰ってきたことで、初めて顔を合わせる。

 目の前で顔を合わせれば何か変わるかと思いきや、結果は変わらない。

 ちょっとしたことで言い合いになり、日々勝負をすることに。

 しかしそれでも、二人はこの交信について外部には秘密にしている。

 なぜならば特殊な能力を持つ者は不正能力者ジュリエットと呼ばれ、世間ではいない者とされているからだ。

 また庶民の間では、この不正能力者ジュリエットを使って企業がイカサマをしているとも言われている。

 なので二人が不正能力者ジュリエットと知られれば、ろくなことにならないということだった。

 そうして二人は交信を秘密にしつつ、学園生活を送る。

 だがそれも、一つの事故を切っ掛けに変わっていく。

 お互いの交信には、もう一つ秘密がある。

 それは譲の交信は三分前の彼方に送られ、彼方の交信は三分後の譲に送られることに関係していた。

 なんと譲が三分前の彼方に強く懇願こんがんしたことで、過去が変わってしまったのだ。

 当然これは、誰にも話せない交信以上の秘密である。

 しかしどういう訳か、この過去を変えることができる能力が知られてしまい、二人は追われることになってしまう。

 お互いに嫌い合いながらも、二人は捕まらないために逃避行を続けるのであった。

 果たして二人は、大企業や公安から逃げ切ることができるのであろうか。

2-2.『感想』

 この小説はテレパシーで繋がった男女が過去まで改変できるようになり、それを狙われて追われる物語です。

 不正能力者ジュリエットと呼ばれる不確かな存在で、知られれば碌な目にあわない存在である二人。

 いがみ合いながらも、秘密を守っていました。

 けれどもとある切っ掛けで過去を改変できるようになり、それを知られて逃避行することになります。

 お互いに夢や家庭環境に翻弄ほんろうされながら、少しずつ距離が縮まっていく感じですね。

 それと設定がとてもよく作り込まれており、様々な謎や二人の関係がなんとも、もどかしいです。

 タイトルを見た時、最初は嫌っているけど、後半ではイチャイチャしだすラブコメかと思っていました。

 しかし読んでみると、その考えがくつがえります。

 ラブコメ要素は少なく、SFと少しミステリーチックなヒューマンドラマといった印象を受けました。

 お互いが嫌っているだけではなく、家庭同士にも因縁があり、二人の夢にも大きな影響を与えています。

 それに苦しめられながらも、二人は逃げ続けながら精神的にも成長していく感じですね。

 まるで一本の映画を見ているようであり、クオリティがとても高いです。

 ライトノベルと文芸の間という感じでしょうか。

 それと二人の関係が、すごく歯がゆいですね。

 とても良いコンビなのですが、関係が近づけばまた離れることが連発します。

 3歩進んで2歩下がる、的な感じですね。

 ですがそれでも少しずつ関係はよくなっているので、これは今後に期待します。

 一冊できれいに纏まっていますが、次巻への伏線も残されていました。

 個人的には、続きが非常に読みたいです。

 たくさんの人に知ってもらいたい、そんな作品でした。

 そういう訳で引き続き、この作品を読んでいこうと思います。

 テレパシーで繋がったお互いを嫌い合う男女が逃避行をすることになる物語に興味がある方は、是非購入を検討してみてください。

3.『今回のレビュー書籍』

書籍情報
  • タイトル:大っっっっっっっっっっ嫌いなアイツとテレパシーでつながったら!?
  • 著者:かつび圭尚
  • イラスト:五七翔二
  • 発売日:2023年10月25日
  • 定価:748円(本体680円+税)
  • 発行:KADOKAWA
  • レーベル:MF文庫J

 よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。

4.『関連書籍』

 

【著者:かつび圭尚の別作品】

  • 問一、永遠の愛を証明せよ。 ヒロイン補正はないものとする。 (MF文庫J)

 


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