【レビュー】第七魔王子ジルバギアスの魔王傾国記Ⅱ【感想】

1.『あらすじ』

禁忌を犯し、竜を従属させよ。

魔王に殺され、その息子である第七魔王子・ジルバギアスに転生した勇者。
残虐な魔王子を演じ、どうにか囚われのハイエルフ・リリアナの救出に成功するも、彼女は自我を喪失し自らを『犬』だと思い込んでしまう……。
そんな折、ジルバギアスは軍事演習として廃墟に巣食うゴブリンの殲滅を命じられる。
しかし、廃墟で遭遇したのは、前世の戦友であるホワイトドラゴンの長・ファラヴギだった。
魔王子として敵対するか、あるいは彼を仲間に引き込むため――部下を皆殺しにするか。
ジルバギアスは苦渋の決断を迫られる――。
『竜』の因果に翻弄される、偽りの魔王子による国崩し、第2幕。

引用:OVERLAP

※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。

2-1.『レビュー』

 元勇者アレクサンドル。現第七魔王子ジルバギアスは、魔王に殺されてその息子に転生した存在である。

 この立場を上手く使って、ゆくゆくは魔王討伐を目指している。

 そんなジルバギアスは、初めての初戦果を得るために、馬車で遠出をしていた。

 魔王城から離れるのは、禁忌の魔神通称アンテと契約した時以来である。

 お供にはハイエルフの聖女であり、現在自分のことを犬だと思っているリリアナや、他にも複数人いた。

 他人の負傷を移し替える転置呪によって、救った夜エルフ達もついて来ている。

 その中には夜エルフにも関わらず、剣聖に到達しているヴィロッサという者もいた。

 剣聖は本来人族が数十年修行した末に、僅かだが成れる可能性のある希少な存在だ。

 しかしヴィロッサは人化の魔法により、夜エルフから人族になっていた際に様々な修行や苦難を乗り切り、剣聖へと至ったのだという。

 ジルバギアスは、そのことに複雑な思いを感じながらも、ヴィロッサからその戦い方などを吸収することにした。

 そうして目的地に辿り着くと、本来討伐するはずのゴブリンの様子がおかしい。

 更に砦には、何やら人族が潜伏している気配があるという。

 ジルバギアスたちはとりあえず警戒しながらも砦に入るが、そこにいたのは人族ではなく、魔族をを裏切り人族側についていたホワイトドラゴンの長、ファラヴギだった。

 果たして、前世でも因縁のあったファラヴギに対し、ジルバギアスはどう立ち向かうのだろうか。

2-2.『感想』

 勇者だったはずが、魔王に殺されてその息子になってしまう転生物語です。

 主人公のジル君は、前世では勇者アレクサンドルとして、活躍していました。

 魔族は当然憎く、更には人族側が劣勢ということもあり、この状況を逆手にとって内部からどうにかしようと暗躍しているわけです。

 ですが、敵でも身内になってしまうと、どうしても良い部分が見えてきてしまいますよね。

 いずれこの人たちを裏切るのかと思うと、私自身読んでいて複雑な気持ちになります。

 しかしジル君の決意は固く、様々な葛藤の中で力を身につけていきました。

 今巻でも前世で魔王城に突入する際に、移動手段として手伝ってくれたホワイトドラゴンの長、ファラヴギと相対します。

 前世では勇者でも今世では魔族、それも魔王子でので、ファラヴギが分かるはずもなく敵対してしまいました。

 その後は色々あって、ファラヴギの娘であるレイラちゃんを手に入れたジル君。

 レイラちゃんは人化の魔法により、普段から美少女の姿です。 

 レイラちゃんから見れば、ジル君は復讐相手でした。

 前世で自分の母親を殺されたことのあるジル君は、これでは自分も同じだと、その事実に心が圧し潰されてしまいそうになります。

 ジル君の気持ちを考えながら読んでいると、涙が流れました。

 苦難続きですが、ジル君にはいずれ幸せになってほしいですね。

 前世では勇者だったけど魔王子に転生して、内部から崩壊させるために力を蓄える物語に興味がある方は、是非購入を検討してみてください。

3.『今回のレビュー書籍』

書籍情報
  • タイトル:第七魔王子ジルバギアスの魔王傾国記Ⅱ
  • 著者:甘木智彬
  • イラスト:輝竜司
  • 初版発行: 2023年1月25日
  • 定価: 825円(税込)
  • 発行:オーバーラップ
  • レーベル:オーバーラップ文庫

 よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。

4.『関連書籍』

 

  • 第七魔王子ジルバギアスの魔王傾国記Ⅰ (オーバーラップ文庫)

 


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