1.『あらすじ』
交通事故に巻き込まれた俺は、目が覚めると見知らぬ湖畔に立っていた。
体は動かず、突然の出来事に混乱し声をあげると――
「あたりがでたら もういっぽん」
ど、どうやら俺は自動販売機になってしまったらしい……!
選択できる行動は自動販売機の機能”のみ”。
自力で移動は不可能、会話もできない状況で出会ったのは、お腹を空かせた冒険者の少女・ラッミスだった。
商品を出してラッミスの窮地を救った俺は、《怪力》の加護を持つ彼女に背負われ集落へ!
様々な自動販売機に変身して提供する現代のドリンクや食品、日用品はすぐに噂となり、美食と刺激を求めて異世界の住民たちが集まり始め――!?引用:ザ・スニーカーWEB
※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。
2-1.『レビュー』
自動販売機マニアの主人公は、ある日自動販売機に押しつぶされて亡くなってしまう。
そして気が付けば、なぜか異世界で自動販売機に転生をしていた。
自動販売機なので当然動くことができなかったが、言葉はいくつか発することができる。
『いらっしゃいませ』『ありがとうございました』『またのごりようをおまちしています』『あたりがでたらもういっぽん』『ざんねん』『おおあたり』『こうかをとうにゅうしてください』
この七種類に限り、使用することができた。
だとしても周囲には人がおらず、主人公は途方に暮れる。
しかもそんな時に限って蛙の魔物に襲われてしまい、耐久力が削られていく。
この耐久力が全て尽きたとき、自動販売機である主人公は壊れてしまう。
なのでどうにかできないか試行錯誤したところ、結界という加護を手に入れたことで難を逃れた。
それからは魔物に襲われることも無く、電気の代わりに使用されているポイントだけが減り続けている。
ちなみにポイントは電気の代わりになる以外にも、自動販売機内の商品を入れ替えたり、機能を追加したりと使う場面が多い。
そんなポイントを増やすには、誰かに自動販売機で商品を購入してもらう必要があった。
このままでは誰とも会わずに第二の人生、自動販売機生が終わると思われたその時、主人公の元に一人の少女が現れる。
少女は初めこそ見たこともない自動販売機に驚いたが、次第に打ち解けていき自身をラッミスと名乗った。
なお主人公は後にラッミスから、ハッコンと名付けられることになる。
そして怪力の加護を持つラッミスの力により、ハッコンは迷宮内の集落へと運ばれた。
ハッコンは迷宮内の集落で居場所を作ると、そこで自身の体でもある自動販売機を使い、様々な商品を販売していく。
果たして自動販売機に転生した主人公は、この異世界にどのような影響を与えていくのであろうか。
2-2.『感想』
この小説は異世界で自動販売機に転生した主人公が、自動販売機で売られている様々な日本の商品を販売していくストーリーになっています。
主人公は異世界の少女ラッミスちゃんに、ハッコンという名前を与えられました。
ハッコンの前世は自動販売機マニアであり、これまで自身が自動販売機で購入したものを商品として販売することができるようです。
基本的な飲み物はもちろんのこと、ポテトチップスやおでん缶、カップ麺に加えて珍しい自動販売機の商品と幅広い感じでした。
異世界転生ものは数多く読んできましたが、自動販売機に転生した作品は今のところこの作品しか知りませんね。
ちなみに私はこの作品をwebで、数年前に読んだ記憶があります。
その時も楽しく読ませていただいたのですが、当時まさかアニメ化するとは思ってもいませんでした。
なのでアニメ化して書籍も新装版として販売されたことに、正直驚いた次第です。
私は元々作者様の書いていた『いらないスキル買い取ります』が特に好きでして、この作品も作者様繋がりで当時知った感じでした。
そういう訳で何がどうなってこの作品がアニメ化までたどり着いたのか、とても気になりますね。
これはあくまでも私の予想なのですが、コミカライズが売れたのだと思われます。
確かコミカライズの時も、書籍化からだいぶ時期が経ってからだった気がしますね。
そう考えると、アニメ化まで来たのはまるで小説の逆転劇のようです。
また作者様は『この素晴らしい世界に祝福を!エクストラ あの愚か者にも脚光を!』を書いている人物でもあります。
これは運だけではなく、実力も確かでしょう。
実際にこの『自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う』も異世界転生ものではありますが、内容はとてもオリジナルティがあります。
自動販売機ならではの活躍は、読んでいてとても新鮮でした。
ヒロインも可愛らしく、元気で真面目なラッミスちゃんと、かっこよくギャップが良いヒューミルさんという感じです。
ハッコンは自動販売機なので恋愛展開は難しそうですが、代わりにヒロインたちとの確かな信頼関係や友情関係が素晴らしいですね。
今後ハッコンたちが迷宮でどのように活躍していくのか、とても楽しみです。
自動販売機に転生した主人公が迷宮で商品を販売して活躍する物語に興味がある方は、是非購入を検討してみてください。
3.『今回のレビュー書籍』
- タイトル:【新装版】自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う
- 著者:昼熊
- イラスト:憂姫はぐれ
- 発売日:2023年6月30日
- 定価:748円(本体680円+税)
- 発行:KADOKAWA
- レーベル:角川スニーカー文庫
よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。
4.『関連書籍』
- 自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う1 (電撃コミックスNEXT)
【著者:昼熊の別作品】
- 村づくりゲームのNPCが生身の人間としか思えない 01
- いらないスキル買い取ります 1 (オーバーラップノベルス)
- この素晴らしい世界に祝福を!エクストラ あの愚か者にも脚光を! 素晴らしきかな、名脇役 (角川スニーカー文庫)
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