Sleepy Shota VR Wind Gods Yugi

006

 これで本当に金は底をついたな。 この宿は食事代別で一泊2,000フィルだ。宿泊客には割引があるらしく、何とかわずかな残りで一番安い食事を摂ることができた。 だが、これで明日稼がなければ飢えることとなる。もう後には引き返せない状況となった。…

005

 あれから俺は途中警戒しつつも昼食を摂り、数多く現れるストーンタートルを倒しながらも、手ごろな岩や石などを収穫し、そろそろ町に帰ろうかと考えていた。「ガメェ!?」 一匹のストーンタートルが悲痛の声を上げて光の粒子となる。残されたのはおなじみ…

004

 それにしても、この顔と声は便利だな。露店で購入の時は値引きしてくれるし、聞いたことは丁寧に教えてくれる。それも男女関係なく。 そう、俺の見た目は幼さを残す少女であり、声は愛らしく、長い銀色の髪は後ろで大きな三つ編みにしており、どこか眠そう…

003

「――というわけで、チュートリアルは以上となる。何か質問はあるか?」「いや、十分だ。いろいろ確認できて助かった」「そうか、ならもう言うことはないだろう。お主ならば大丈夫だとは思うが、たっしゃでな」 そうして、話を聞き終わってチュートリアルを…

002

「ん?」 目が覚めると、そこはまるで熱湯が煮えたぎるような音を鳴らす場所。溶岩地帯だった。暗っぽい岩が周囲に散乱している。「おう、目覚めたようじゃな」「誰だ?」 突然そう声をかけてきたのは、ずんぐりむっくりという言葉を表したような体系の老人…

001

 俺はいったい誰なのだろうか? それが最初に思ったことだった。 体が動かない暗闇の中、いや、|体の感覚《・・・・》のない暗闇の中で、俺はぼんやりとただ存在しているだけだというのに、そこに何の不快感も無く、負の感情すら湧き上がってはこない。 …