sister-hazard

007 中学校までの道中

「凛也先輩……瑠理香を、よろしくお願いします」「ああ、任せておけ」 心配そうな表情を浮かべる夢香ちゃんに、俺は親指を立てて答える。「凛也君、あいつらに見つかったら逃げることよりも、臨機応変に対応するようにね?」 鬱実は心配しているのか、そう…

006 助けに行く理由

 何を言っているんだろうか? そんな風な視線を俺は受ける。 確かに夢香ちゃんは危なくて、俺が大丈夫だとは言えない。 正直命は惜しいし、とても怖かった。 だが、この中で行くとすれば俺しかいない。 夢香ちゃんは運動が苦手だと以前聞いたことがある…

005 一息と新たな問題

 おそらく鉄製であろう梯子を先に降りる俺。 そこでふと思う。 今上を見たら、夢香ちゃんの下着が見えるのではないかと。 いや、そんな馬鹿なことをしている場合じゃない。 そのまま上を見ること無く、俺は梯子を降りきった。「まじかよ……」「す、すご…

004 学校から脱出

 この学校は、もうだめかもしれないな……。 下駄箱を目指す俺たちは、一つの教室の前を屈んで通り過ぎる。 出入口のドアにある小さな窓からこっそり教室を覗くと、大勢の少女たちが授業を受けていた。 一クラスの男女比はおおよそ半々なので、全員が少女…

003 個室で休憩

 無事に褐色の少女を退けた俺は、ひとまず一階にある男子トイレで休憩することにした。 しかし何故かこの二人は女子トイレではなく、男子トイレに入ってくる。「……何で同じ個室に入ってくるんだよ……」「何だかドキドキするね?」「えっと……その……」…

002 挑まれた勝負

「お姉ちゃんも往生際が悪いよ! でも、これでもうおしまい!」「ひっ!?」 一階に降りてくると、褐色の肌をした少女に馬乗りにされている女生徒が視界に入ってくる。 あれは!?「|岸辺《きしべ》さん!」「ひぅ!? ひょ、|氷帝《ひょうてい》先輩!…

第1章 001 始まりの日

 ゾンビ映画って、一度は見たことあるよな? ああ、俺も見たことはある。 噛まれると、そいつもゾンビになっちまうんだ。 そして最後には、ゾンビよりも人間の方が恐ろしくなるのが定番だよな? え? なんで急にゾンビの話をしているかって? そりゃ、…