1.『あらすじ』
「お兄ちゃん、ここは現実だよ!」
雪花小学校6年1組の芦原佑馬は、VRMMORPG《アクチュアル・マジック》のプレイ中、ゲームと現実が融合した《新世界》に足を踏み入れる。
事態が飲み込めず混乱する佑馬の前に現れたのは、クラス一の美少女・綿巻すみかだった。だが彼女の容姿は悲劇的なほどに変貌していた。それはゲームの『モンスター』としか思えないもので……。
「――これはゲームであって、そして現実だ」
VR(仮想現実)、AR(拡張現実)に続く、川原礫最新作の舞台は、MR(複合現実)&デスゲーム!引用:電撃文庫
※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。
2.『レビュー』
主人公である芦原佑馬は、小学六年の同級生たちと共に、VRMMORPG《アクチュアル・マジック》のテストプレイに参加していた。
双子の妹の芦原佐羽や、親友の近堂健児、幼馴染である茶野水凪とゲーム内でパーティを組み、佑馬は魔物使いとしての力を使い、ウサギのモンスターのカード化に成功する。
佑馬はそのウサギのモンスターにムクと名付け、その特殊能力でボスいる元までたどり着いた。
そこでボスを倒す競争をしていた同級生の委員長たちと遭遇して、多少のいざこざはあったものの、無事にボスを撃破する。
しかし、そこでテストプレイが終了すると思いきや、意識が途切れ気が付けば現実世界に戻っていた。
だが、目覚めた場所はテストプレイをするために寝ていたカプセル内だったが、建物内はいたるところが破壊されており、他のカプセルもいくつか破損している。既に人の入っていない物も多くあった。
普通ではない状況に戸惑う佑馬だったが、そこに一人の少女が現れる。それはクラスのマドンナ的存在である綿巻すみかだったが、顔には目と鼻は無く、大きな口だけとなっていた。
しかも血まみれで誰かの千切れた片腕を持ってモンスターと化している。襲い掛かってくる綿巻すみかに佑馬は恐怖で動けなくなるが、そこに親友の健児と双子の妹である佐羽に助けられて危機から脱した。
そのとき、テストプレイをしていたVRMMORPG《アクチュアル・マジック》内の力を現実世界でも使用できることに驚く佑馬だったが、魔物使いの力を駆使して綿巻すみかをカード化することに無事成功する。
その後三人で巨大な化け物と戦ったり、生き残りの同級生たちと再会しながらも、もめ事を起こす人物もいることでスムーズにはいかない。
結局色々あって食料を探すはめになった佑馬たちだが、そこで新たな化け物と遭遇し絶対的なピンチとなったところで……と、最後まで読みどころ満載の一冊になっています。
◆
本書デモンズ・クレストの作者は、あのソードアートオンラインやアクセルワールドで有名な川原礫先生です。
完全新作ということで、とても楽しみにしていました。
実際、読んでみると段々世界観に引き込まれ、いつの間にか読み終わっていたほどです。
特に、クラスのマドンナであるモンスター化した綿巻すみかちゃんをカード化したところが、一番最高でした。
またこの巻では、物語自体は大きく進んではいません。
世界観や状況説明、登場人物の紹介がメインでしょう。
ですがバランスよく一冊に纏まっているので、説明を読んでいる感は一切なく、自然と世界観や状況などが頭に入ってきました。
最後には、次巻がすごく気になる終わり方もしています。
複数の作品を同時に連載している作家の先生なので、次巻がいつになるかは分かりませんが、あとがきにはなるべく早く出したいと書かれていました。
今から楽しみで仕方がりません。
人間関係も小学六年生ながら複雑であり、単純にはいかないようです。
主人公佑馬が実質的に仕切ることに癇癪を起す委員長などもおり、同級生とのトラブルも今後の巻でより複雑化するかもしれません。
大人たちも今のところいないので、今後まともな大人たちが出て来るかも気にますね。
私個人としましても、楽しみながらもとても勉強になる一冊でした。
面白さもそうですが、やはり一冊の纏まり感が本当にすごいです。
今後も続きが気になる『デモンズ・クレスト1 現実∽侵食』是非未読の方は読んでみてください。
3.『今回のレビュー書籍』
- タイトル:デモンズ・クレスト1 現実∽侵食
- 著者:川原 礫
- イラスト:堀口 悠紀子
- 初版発行:2022年11月10日
- 定価:726円(本体660円+税)
- 発行:KADOKAWA
- レーベル:電撃文庫
よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。
4.『関連書籍』
【著者:川原 礫の別作品】
-
ソードアート・オンライン
-
アクセル・ワールド
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