1.『あらすじ』
世界は美しくなんかない。
「キノはどうして旅を続けているの?」 「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか? ものすごく汚い人間ではないか? なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ……でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛しく思えるんだよ……。ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする」 ―――短編連作の形で綴られる人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の話。今までにない新感覚ノベルが登場!
引用:電撃文庫
※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。
2-1.『レビュー』
世界を相棒のエルメスと旅をする主人公キノ。
中性的な十代の少女ではあるが、腰には二丁の拳銃を下げており、その腕はかなりのものだ。
相棒のエルメスは、モトラドという二輪車ではあるが、言葉を話しキノと上手くコミュニケーションを取っている。
向かう先々の国は、どこか普通ではない。
いや、その国の人たちにとっては常識ではあるが、旅人のキノにとっては異常に見えることも多々あった。
道中に立ち寄る国では、三日間過ごすという自己ルールを持っているキノ。
その三日間の間に、国の歴史や、問題にかかわっていく。
また国と国を結ぶ道中でも、そうした少々普通ではない人々との出会いもある。
どこか寓話的であり、考えさせられる作品ではあるが、いつの間にか内容に引き込まれる。そんな魅力を持つ一冊だ。
2-2.『感想』
最初は旅行的で、普通に観光をするような作品だと思っていました。
しかしそれも、最初の一話目から覆されます。
便利さを追求した結果、誰とも近づくことのできない、『人の痛みが分かる国』。
皮肉であり、教訓的でもあります。
何とも言えない。考えさせられるような、そんな気持ちになりました。
続く話もそうしたものが多いです。
ですが、しっかりラノベらしく、キノちゃんの戦闘シーンなどもありました。
キノちゃんは意外に強いんですね。
まあ、そうでなければ危険な世界で旅はしませんか。
それはさておき、この作品はどこか文芸的であり、寓話的です。
読めば読むほど、色々と考えさせられるでしょう。
最初の発行は2000年と少々前ですが、こうした名作を読めてとても満足しました。
また連作短編形式であり、一つ一つが完結しているので、一話一話の満足度が高いのもポイントですね。
こういった小説はあまり出会わなかったので、とても勉強になりました。
世界をバイクで旅する寓話的な物語に興味がある方は、是非購入を検討してみてください。
3.『今回のレビュー書籍』
- タイトル:キノの旅 the Beautiful World
- 著者:時雨沢恵一
- イラスト:黒星紅白
- 初版発行:2000年7月10日発売
- 定価:671円(本体610円+税)
- 発行:KADOKAWA
- レーベル:電撃文庫
よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。
4.『関連書籍』
- キノの旅1 the Beautiful World (電撃コミックスNEXT)
- 学園キノ (電撃文庫)
【著者:時雨沢恵一の別作品】
- ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (1) ―スクワッド・ジャム― (電撃文庫)
- アリソン (電撃文庫)
- リリアとトレイズI そして二人は旅行に行った<上> (電撃文庫)
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