1.『あらすじ』
1420年、ボヘミア王国。戦争により家族を虐殺された12歳の少女シャールカは、フス派義勇軍の英雄ヤン・ジシュカに導かれ、仲間たちと共に反カトリックの戦いに身を投じていく。15世紀、中央ヨーロッパで起こり「宗教改革」の端緒となった「フス戦争」をモチーフに、少女の視点で、史実に基づいた凄惨な戦争を描く歴史巨編!!
引用:双葉社
※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。
2-1.『レビュー』
1420年頃のボヘミア王国にて、宗教戦争が勃発した。
聖書に基づく信者の平等を説いたプラハの神学者、ヤン・フスの”フス派”。
教会の権威を重んじる”カトリック派”。
二つの派閥が争い、フス戦争へと至る。
また肝心のヤン・フスが火炙りの刑によって処刑されたことも、きっかけの一つになった。
そんな戦争のさなか主人公シャールカの住む村は、カトリック派の騎士団によって襲撃を受ける。
村人は成す術もなく殺されていき、捕まったシャールカは騎士に乱暴をされてしまう。
その後何とか生き延びて逃げ出したシャールカは、フス派の傭兵隊”トロツノフの隻眼巨人隊”に拾われた。
加えて敵を討つために入隊も果たし、女性でも扱える大砲を小型化した銃『ピーシュチャラ』を与えられる。
これで鎧を着た騎士でも倒せるようになったシャールカだが、またしても悲劇が襲い掛かった。
隊で親密になり結婚しようと言ってくれた少年、カレルが殺されてしまったのだ。
更にシャールカは、人を殺したことによるトラウマにも悩まされ始める。
またより過酷になっていく戦争には皇帝や教皇まで参戦して、全キリスト教がフス派の敵に回り始めた。
果たしてシャールカは、この厳しい戦いを生き抜くことができるのであろうか。
2-2.『感想』
この物語は、1420年ごろのヨーロッパで実際にあったフス戦争を元に描かれています。
フス派と呼ばれる派閥と、カトリック派による戦争ですね。
カトリックは現代でも馴染み深いですが、フス派は中々聞きません。
どうやら神学者ヤン・フスという人物が元になっている派閥のようです。
当時15世紀初めに教会の堕落を批判して、また信者に平等を説いていたのがフス派でした。
聖職者が金儲けに走ったり、特権を悪用して不正を働いていたそうです。
加えて分裂して三人いた教皇の一人が、免罪符を売り始めたようですね。
ちなみに免罪符とは、買えば一時的に罪を許されるものでした。
後に教皇は一人になり、教皇丁の再統一がなされたことで、会議が行われます。
それに安全を保障されたことでヤン・フスも参加するのですが、騙されて異端者の烙印を押されて火炙りにされてしまいました。
更に皇帝に就任したのがこのヤン・フスを火炙りに追いやった張本人らしく、結果としてフス戦争に発展したようですね。
いまのところ物語を見るに、フス派が正義でカトリック派が悪に見えます。
ですが今巻ではフス派側の話で進んでいるので、正直なところまだ分かりません。
もしかしたら、カトリック側にも正義があるのかもしれませんね。
それと現代のカトリック勢力を考えると、自ずと物語の終点が予想できてしまうのが悲しいところです。
また物語に出てくるピーシュチャラですが、これはピストルの語源になっているものだそうですね。
このピーシュチャラは、チェコ語で笛という意味があるそうです。
当時は弓や弩に劣る武器だったみたいですね。
しかし操作が簡単で練習時間が少なく済んだことで、女性でも扱えた武器のようです。
実際に作中でも主人公兼ヒロインのシャールカちゃんが、このピーシュチャラで戦っていました。
今後どう考えても過酷な運命が待ち受けていますが、シャールカちゃんには強く生きてもらいたいです。
1420年頃のヨーロッパで起きたフス戦争を題材にした物語に興味がある方は、是非購入を検討してみてください。
3.『今回のレビュー書籍』
- タイトル:乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ 1
- 著者:大西巷一
- 発売日:2014年1月10
- 定価:682円 (本体620円)
- 発行:双葉社
- レーベル:アクションコミックス
よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。
4.『関連書籍』
- 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(2) (アクションコミックス(月刊アクション))
- 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(3) (アクションコミックス(月刊アクション))
- 乙女戦争外伝I 赤い瞳のヴィクトルカ (アクションコミックス(月刊アクション))
- 乙女戦争 外伝II 火を継ぐ者たち : 上 (アクションコミックス)
- 乙女戦争 外伝II 火を継ぐ者たち : 下 (アクションコミックス)
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