1.『あらすじ』
米ソの冷戦が終わらなかった近未来。
モスクワを舞台に《掃除屋》ダニーラ・クラギンが短機関銃を手に路地を駆ける――!「ゴブリンスレイヤー」の蝸牛くもが描く、
圧倒的人気web作品が待望の書籍化!「あばよ、同志諸君!!」
西暦二一六〇年。米ソの冷戦が終わらなかった近未来のモスクワ。
戦争帰りの機械化兵がうろつき回り、張り巡らされた電脳網は当局によって監視され、裏では政府系組織と西側諸国のスパイやマフィアが殺しあう。
自由も真実も、未来も繁栄も、とうにどこかへ消え失せたこの街で、
今日も生身の傭兵ダニーラ・クラギンは、存在否定可能な人材として短機関銃を片手に路地を駆ける!愛するスターシャと、彼の帰りを待つ弟妹たちのために――。
大人気『ゴブリンスレイヤー』の蝸牛くも×神奈月昇が新たに放つ、ハードボイルド・サイバーパンク!
引用:GA文庫
※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。
2-1.『レビュー』
米ソ冷戦が終わらなかった西暦2160年、モスクワでダニーラ・クラギンは掃除屋をしていた。
掃除屋は所詮使い捨ての道具であり、いつ死ぬかも分からぬ生活である。
また孤児として育ったダニーラは、二人の妹と弟一人を養ってきた。
一丁の拳銃から始まった生活は、当時幼いダニーラの精神を次第に病ませていく。
だが偶然出会ったスターシャとの関係により、ダニーラの心にも余裕が生まれていった。
そうして大人になったダニーラは、時代遅れの短機関銃を使いながら今日も稼ぐ。
稼いだ金銭は妹と弟に分け、残った金銭でスターシャを買う生活を送っていた。
しかし体を機械化した機械化兵が蔓延る中で、ダニーラは生身を貫いている。
そんないつ死んでもおかしくない環境で、秘密警察やマフィアからの依頼を受けていく。
だがある日、スターシャの身に危険が迫っているという情報を得たダニーラ。
相手は生半可な相手ではなく、下手をすれば殺されてしまう可能性があった。
それでもダニーラは、スターシャのために行動を起こす。
果たしてダニーラは、スターシャを救うことができるのであろうか。
2-2.『感想』
この小説は米ソ冷戦時代が終わらなかった架空の未来を描く、SFサイバーパンク作品となっています。
主人公のダニーラさんは、掃除屋といういつ死んでもおかしくない仕事をしていました。
それは生きるためであり、二人の妹と一人の弟を養うためというのが始まりです。
またダニーラさんにはスターシャさんという愛する人がいまして、お金を稼いでは惜しみなく通い続けています。
今作のヒロインであるスターシャさんは、いわゆる高級な春を売る人ですね。
世界観がシビアな殺伐とした感じなので、こうしたヒロインもマッチしています。
スターシャさんがいたおかげで、ダニーラさんの人間性が保たれ育まれた感じですね。
出会わなければ、幼い妹と弟を見捨てて一人で生きていたことっでしょう。
それだけ、厳しい世界観です。
孤児であったダニーラさんはいつもお腹を空かせ、金銭を稼ぐ手段は限られていました。
結果として対象の殺害や護衛など危険な仕事の多い、掃除屋に就くしかなかった訳ですね。
ダニーラさんの過酷な掃除屋としての生き様が、読んでいて凄く伝わってきました。
加えて世界観が素晴らしく、大作映画を見ている気持ちになります。
完成度も高く、私自身とても勉強になりました。
この一冊でも十分完成していますが、次巻でもダニーラさんがどのように生き抜いていくのか楽しみです。
米ソ冷戦が続いた架空の2160年のモスクワを舞台にしたサイバーパンクな物語に興味がある方は、是非購入を検討してみてください。
3.『今回のレビュー書籍』
- タイトル:モスクワ2160
- 著者:蝸牛くも
- イラスト:神奈月昇
- 発売日:2023年6月6日
- 定価:704円(本体640円+税10%)
- 発行:SBクリエイティブ
- レーベル:GA文庫
よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。
4.『関連書籍』
- モスクワ2160(1) (ビッグガンガンコミックス)
【著者:蝸牛くもの別作品】
- ゴブリンスレイヤー (GA文庫)
- ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン
- ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀 上 (GAノベル)
- ブレイド&バスタード -灰は暖かく、迷宮は仄暗い- (DREノベルス)
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