※死後に異世界はありません。

 ふと思うんだ。死んだらこれまでの人生は幻で、本当の自分が目を覚ますんじゃないのかって、それこそ異世界にでも行けるんじゃないのかと……。

 ――ビルから少年が飛び降りた模様――遺書が残されており――学校ではいじめが――

『何で――が! 返してよ! ――を返して!』
『本当に死ぬ何て思わなかった! やっていたのは俺だけじゃねえ!』
『このようないじめが我が校で行われていたことなど知るよしもなく』

 でも、そんな事は無かった。まるで悔いろと言わんばかりに、現実・・を見せられる。その光景は、思った以上に苦痛だ。

『あ、昨日のお供え忘れていたわ……』
『ようやく出られたぜ。もしもし? お! 仕事紹介してくれんの? サンキュー!』
『我が校は至って平和であり、こうして新たな年を迎えられたことを喜ばしく思う』

 それから月日が流れれば、まるで無かったかのように終息していく。自分が死んだ意味とは何だったのだろうか。
 そして、人の記憶が消えて行くと共に、意識が途切れて行く。稀に思い出したかのように自分のことが話題に出るが、その者に向けられるのは同情。自分に向けられるのは軽蔑だった。そうして、誰からの記憶からもいなくなった時、本当の意味で死を迎える。

 こんな現実だったなら、死ななければよかった……死後に異世界なんて……無かった。

 それを最後に、意識は無に帰した。


小説一覧に戻る▶▶

ツギクルバナー
ブックマーク
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA