遠くに見える景色が美しかった。
私には、眩しかったのだ。
届かないものに手を伸ばす私は、滑稽であったであろう。
皆には簡単に手に取れるそれが、私には、私には果てしなく遠いものだったのだ。
あぁ、何故だろう。何故なんだろうか。
以前は私もそうだった。そうであったはずなのだ。
後悔は果てしない。叫び嘆いたところで戻ってはこない。
であるのならば、如何にするか。どうすればそれに近づけるのだろうか。
答えは見つからない。いや、本当はある。あるのだ。
だが、後悔故か、諦めなのか、二の足を踏む。
この身は疾うに腐っている。
簡単には近づけぬのだ。
皆にはそれは当たり前のこと。
理解はできても共感は難しいだろう。
分かってはいる。分かってはいるのだ。
これは自分自身との戦いなのだと。
それも、分の悪い。本当に分の悪いものだ。
垂れ流して誰かに助けを求めたところで、それは単なる自己満足なのだと。
一方的なそれは、痛みを叫んでいるだけなのだ。
他人が代わることはできない。
しかし、おまじないはできる。
その分だけ、私の気持ちは楽になるのだ。
だが、それは時期に切れる。
入り口に戻った私は、何度も繰り返す。
ああ、愚かだ。愚かだろう。
都合のいい目が出るまで何度でも繰り返す。
そうして、奇跡的に出口に辿り着けるその日まで、私は……。
笑ってくれ。愚かな私を、この奇跡を起こしてもいずれ入り口に戻っていく私を。
それでも、もう一度見たいのだ。少しでもいい、一瞬でもいい。
あの美しい光景を、もう一度だけ。
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