心の積み石

 悲しい。悲しみがこみ上がっていく。
 とめどない絶望がある。
 これからどうしよう。という不安がある。
 不甲斐ない自分に憤りを覚える。

 どこへ行けばいいのだろう。
 どこに向かえばいいのだろう。
 どこへ辿り着くのか……。

 果てしない。この道は、とても果てしない……。

 夢はどこへ。希望はどこへ。

 暗闇が押し寄せる。

 私は誰だろうか。人なのだろうか。人みたいな何かではないのだろうか。
 人になりきれていない。私はいったい……。

 助けは無い。いや、わかってはいる。無いのではなく、それに言い訳をして払いのけているのだと。それを分かっていながらダメなのだ。

 助けてほしいという気持ちと、放っておいてほしいという矛盾。

 いったいどうすればいいのだろうか、自分自身では最早答えられない。
 矛盾の苦しみが私を襲う。

 救いはどこに……。

 無が迫る。

 無が。真っ白ではない。透明でもない。無という何か。

 気がつけば一日が終わっている。何を考えていたのか覚えてはいない。
 何故私は泣いていたのだろうか。覚えてはいない。
 空気が重い。息苦しさもある。ここはいったいどこなのだろうか。

 石を積み上げている。一つ一つ。丁寧に時間をかけて。
 でも、蹴とばす。叩きつける。そして嘆く。
 全く関係ない理由で。
 私は私が分からない。本当に私は私なのだろうか。

 答えを探している。答えの無い答え。
 無限に都合のいい答えを探す。そんなものは無いと、解っていながらも。
 私はいったいどこへ……。

 人がいる。人人人人人人……。
 私に興味が無いのは理解している。視線すらも向いてはいない。
 けれど、冷や汗が出る。息苦しくなる。恐怖がこみ上げる。
 視界が捻じれる。ここは……。

 息が上がる。そんなに歩いてはいない。けれど、例えようのない疲労が襲う。
 足は動いているのだろうか……。

 申し訳がない。土下座をしたい。皆に。
 逃げ出したい。消え去りたい。眠りたい。

 それでも……。

 石は今度こそ崩さないように。
 丁寧に。積み上げる。
 総べての自己悪を抑える。
 涙を流しても、痛くても。
 積み上げ続ける。

 私は解放されたい。

 この苦しみから。
 でも、逃げた先の解放だけは、許してはいけない。
 進んだ先の解放へと、向かうためにも。

 だから、ありがとう。
 私の積む意思・・を支えてくれて。


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