小説

073 オブール杯二次予選 ④

 俺がこの決勝で出す最初のモンスターは、元から決めていた。 これまで出番が無かっただけに、張り切って戦うだろう。「いけ、レフ」「グルオゥ!!」 レフは小さな猫の姿ではなく、本来の姿になって現れる。 種族:グレネスレーヴェ 種族特性【闇属性適…

072 オブール杯二次予選 ③

 それから男性が繰り出した二匹目のモンスターも、物量作戦で乗り切った。 しかしソイルセンチピートの魔力が尽きたので、ソイルワームの補充はこれ以上はできない。 結果として男性の三匹目のモンスターに、ソイルワームは全滅させられてしまう。 だが、…

071 オブール杯二次予選 ②

 午前の試合が終わり、現在は昼休憩である。 リードも無事に決勝トーナメントに進んだようで、とても喜んでいた。 それから俺とリードは、ハパンナ子爵たちと合流する。 ちなみに貴賓席には街の有力者たちもおり、挨拶を交わすことになった。 ハパンナ子…

070 オブール杯二次予選 ①

 とうとう二次予選か。楽しみだが、緊張もするな。 俺は現在、街の闘技場に来ていた。 もちろんリードも一緒であり、ハパンナ子爵たちは貴賓席にいる。  二次予選の参加者は全部で三十二人であり、まずは試合に二回勝つ必要があった。 そして上位八人が…

069 ハパンナの街で過ぎていく日々

 納品依頼を終えた日から、俺のしていたことにあまり変化はない。 冒険者ギルドで依頼を受けたり、ハパンナ子爵家の人たちと交友を深める日々だった。 まずDランクの依頼は、この街ではダンジョン関係か護衛依頼がほとんどである。 どちらも微妙だったの…

068 グレートキャタピラーの納品

「すげぇ……」「これが、グレートキャタピラー……」「本当にこれを、単独で倒したのか……」 俺が意識を向けている相手の感情が多少とはいえ分かるのは便利だが、それ故に不便でもあると感じた。 分からないからこそ、精神的な安定が保たれるということも…

067 リーナの恋愛事情

 リードと色々話し合った後は、ハパンナ子爵家のモンスターを見せてもらった。 見たことのないモンスターや、複数の高ランクモンスターを見れて満足である。 ただ俺だけ見るのはアレなので、リードに何匹か俺のモンスターを見せた。 中でもホワイトキング…

066 穏やかな時間と新情報

「猫ちゃん!」「にゃー」 屋敷に戻ると、習い事を終えたルーナにレフが捕まった。 遊んであげてと言った手前、邪険にすることはできない。 お付きのメイドにも頭を下げられたので、レフにはルーナのを相手をしてもらう。 そう思ったのだが。「おにいちゃ…

065 ハパンナモンスター園

 一瞬|焦《あせ》りはしたものの、こうなる可能性は一応考えていた。 なので平静を装い、質問への返事をする。「私の契約は少し特殊でして、できればご内密にしていただけると助かります」「なるほど。けど、少しは知りたいな。こんな契約初めて見たから、…

064 リードと外出

 無事に朝食を終えると、それぞれやることがあるらしいので分かれていく。 ルーナはレフと遊びたかったようだが、習い事があるようでメイドに連れていかれた。 そうして残ったのは、俺とリードである。「それじゃあ約束通り、今日は僕に付き合ってもらうよ…

063 ハパンナ子爵家の人々

 屋敷に戻ると、一人の少年が俺を待っていた。 金髪碧眼の優しそうな少年であり、年齢は俺と同じくらいだ。「やあ。君がジン君かい? 僕はリード・ハパンナ。この家の次男だよ」 そう名乗った少年は、二次予選に出場するというハパンナ子爵家の次男だった…

062 巣穴についての依頼報告

 ハパンナの街に戻ってきた俺は、さっそくギルドで報告を行う。 すると専用の部屋で聞き取りをするという事なので、移動した。 そこで女性の職員に、ソイルワームの巣穴について話す。「えっと、もう一度言っていただけますか?」「ああ、ソイルワームの巣…