【レビュー】夜伽の国の月光姫 【感想】

1.『あらすじ』

とある小国の姫セレネ(8歳)の前世は、現代日本から転生してきたおっさんだった。その異質さから忌み子として監禁されていたセレネは、ある日慈悲深い大国のイケメン王子に救い出される。だが、それを自分の姉の貞操を狙っての所業と勘違いしたセレネは王子と戦うことを決意。その瞬間から運命の歯車は回り始め、数多の勘違いにより、セレネは大国に栄華をもたらす存在・月光姫へと成り上がっていく。――究極の勘違いファンタジー、ここに開幕!

引用:TOブックス

※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。

2-1.『レビュー』

 アークイラ王国の王宮敷地内にある倉庫の奥に、主人公セレネ=アークイラは存在しない者として隔離されていた。

 セレネはアークイラ王国の第二王女であったが、前世の記憶から奇行が目立ち、実の母親である女王に隔離されたのである。

 部屋の出入り口は魔法が使われた鉄の扉であり、簡単には開けられない。

 唯一姉であるアルエ=アークイラが定期的にやって来ては、セレネの現状に嘆いていた。

 ここまでの内容をかんがみれば、とても可哀そうな少女である。

 しかし、セレネ本人は現状を苦痛に思っておらず、むしろ最高だと思っていた。

 三食昼寝付きで、たまに優しい姉がお菓子をくれたり抱きしめてくれる。

 それだけで満足だった。

 だがそれは、純粋な気持ちではない。

 実はセレネの前世は、日本人の中年男性であった。

 つまり、ニート生活に加えて美少女な姉と触れ合て満足なのである。

 しかし、そんな生活も唐突に終わりがやってきた。

 いつものように暗くなってから、部屋の窓から抜け出したセレネは、近くの小さな池がある森の中へとやってくる。

 そこを楽園と名付けたセレネは、食事で残しておいた果物の種などを埋めて育てていた。

 王族であり魔力を持つセレネは、そこで種に魔力を送ることで、通常よりも植物の成長が早く、大きく育つのだ。

 ちなみに魔力を使いネズミに知恵と魔力を授けたことにより、セレネにはバトラーという人間顔負けな優秀な執事もいたりする。

 それはさておき、セレネは毎回行っている自己流の魔術修行を始めた。

 池のそばで祈るように手を組み、「ラーメン、ソーメン、コペンハーゲン……」と適当につぶやいていると、そこに人が現れる。

 大国ヘリファルテの第一王子、ミラノ=ヘリファルテだった。

 この出会いがきっかけとなり、様々な勘違いと善意によって、セレネのニート生活は終わりを告げるのである……という流れになっています。

2-2.『感想』

 この物語は、TS勘違いギャグファンタジーになっています。

 見た目はクールなアルビノ美少女であるセレネちゃんですが、その中身は残念な中年のおっさんでした。

 異世界言語を上手く扱えず、カタコト語になっていますが、それが逆に勘違いを招きます。

 また本人は少女の振りをしておらず、おっさん思考で行動しているのですが、言葉が上手く話せないことによって、ある意味バレずに済んでいますね。

 もちろん、運や偶然が重なり、勘違いを招いているというのもありますが。

 そして、閉じ込められて不幸な少女だと思われたセレネちゃんは、ミラノ王子によって外の世界へと解き放たれました。

 欲望に忠実なセレネちゃんの行動が、周囲に賢い優秀な少女だと思われるのは、見ていて笑ってしまいます。

 TS勘違いコメディとしては、一つの完成形だと思いました。

 TS勘違いギャグファンタジーに興味がある方は、是非購入を検討してみてください。

3.『今回のレビュー書籍』

書籍情報
  • タイトル:夜伽の国の月光姫 
  • 著者:青野海鳥
  • イラスト:miyo.N
  • 初版発行:2015年10月25日
  • 定価:1,296円+税
  • 発行:TOブックス
  • レーベル:TOブックス

 よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。

4.『関連書籍』

 

  • 夜伽の国の月光姫5

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