眠たげショタのVR風神々の遊戯

 体の感覚が無い暗闇の中で眠っていた主人公は、神を名乗る人物に叩き起こされてデスゲームに参加することになった。神はスペードの神と名乗り、他にもハートの神、クラブの神、ダイヤの神と営が分かれている。その者たちと戦うことを強制させられるようだった。やる気のなかった主人公は、当然適当に寝て過ごしていようと考えていた。しかし、不眠の祝福という一日の睡眠時間が三時間で済んでしまうある意味呪いを与えられてしまう。当初は激怒した主人公だったが、睡眠の充実も三倍になるという甘言と、状況によっては更に上質な睡眠能力を与えてくれるという言葉に、この世界で頑張ることを決意した。

執筆時は2019年の3月頃です。

※没にした作品です。今後更新はありません。

  • 001

     俺はいったい誰なのだろうか? それが最初に思ったことだった。 体が動かない暗闇の中、いや、|体の感覚《・・・・》のない暗闇の中で、俺はぼんやりとただ存在しているだけだというのに、そこに何の不快感も無く、負の感情すら湧き上がってはこない。 …

  • 002

    「ん?」 目が覚めると、そこはまるで熱湯が煮えたぎるような音を鳴らす場所。溶岩地帯だった。暗っぽい岩が周囲に散乱している。「おう、目覚めたようじゃな」「誰だ?」 突然そう声をかけてきたのは、ずんぐりむっくりという言葉を表したような体系の老人…

  • 003

    「――というわけで、チュートリアルは以上となる。何か質問はあるか?」「いや、十分だ。いろいろ確認できて助かった」「そうか、ならもう言うことはないだろう。お主ならば大丈夫だとは思うが、たっしゃでな」 そうして、話を聞き終わってチュートリアルを…

  • 004

     それにしても、この顔と声は便利だな。露店で購入の時は値引きしてくれるし、聞いたことは丁寧に教えてくれる。それも男女関係なく。 そう、俺の見た目は幼さを残す少女であり、声は愛らしく、長い銀色の髪は後ろで大きな三つ編みにしており、どこか眠そう…

  • 005

     あれから俺は途中警戒しつつも昼食を摂り、数多く現れるストーンタートルを倒しながらも、手ごろな岩や石などを収穫し、そろそろ町に帰ろうかと考えていた。「ガメェ!?」 一匹のストーンタートルが悲痛の声を上げて光の粒子となる。残されたのはおなじみ…

  • 006

     これで本当に金は底をついたな。 この宿は食事代別で一泊2,000フィルだ。宿泊客には割引があるらしく、何とかわずかな残りで一番安い食事を摂ることができた。 だが、これで明日稼がなければ飢えることとなる。もう後には引き返せない状況となった。…

  • 007

     どうしよう。金がない。 鍛冶師ギルドの前に来て気が付く。登録料がないということに。 ここまで来てどうしようもないな。登録料がいくらかかるかだけでも聞いてみるか。 そう思いながら、建物の中に入っていく。やはり、鍛冶師ギルドというだけにドワー…

  • 008

     さて、称号もそうだが、まさか鍛冶師ギルドでこの名前が通るとは思わなかったな。というのも、この世界で異人は同じ名前を使えない。 上と下の名前の組み合わせ次第では可能だとはいえ、この名前、ジャック・ジョーカーは、スペード神や他の陣営のことを考…

  • 009

     あれからダグールさんと話し合い、週に一度まとめて買い取るということとなった。もちろん買い取ってくれる数には限度があるので、ある程度厳選する必要がある。それでも、俺にとってはありがたかった。 そして、ガンバルさんにも定期的に作った物を見せに…

  • 010

     確か、東は森林が広がっていて、西は平原だったはずだ。森は大型武器が使いづらそうだし、ここは西の平原に行ったほうがいいか。 俺はそう決断すると、山を下るために元来た道に戻り、そこから西に向かって走る。因みに南は草原であり、一番安全で異人の数…

  • 011

     最初はこの世界に来て、スペード神を手助けする程度に考えていた。人と関われば関わるほど。自分の精神が作られ、形作られていくような気がしてならない。 これもスペード神の狙いなのか? 失いたくないという気持ちにさせるための。 二日目でこうなると…

  • 012

     今日も朝がやって来た。絶望の朝だ。どうして起きなければいけないのか。この心地から瞬間的に覚醒させられる地獄。スペード神め。いつか見ていろ。 俺は、ベッドから渋々起き上がる。寝る前に毎回解いている腰までの銀髪を三つ編みに編んでいく。 チュー…

  • 013

     やはり、マッドゴーレムは一体ずつしか出てこないな。それに、出現頻度がそこまでよくない。 あれから数時間狩り続けて、マッドドールのレアドロップである魔力泥は既に二つ手に入れているが、未だにマッドゴーレムのレアドロップは手に入れていなかった。…

  • 014

     ボスエリアに入ると、景色は一変した。周囲は高い岩肌に囲まれており、脱出不能。おそらくよじ登って出ようとしたとしても、無駄だという雰囲気を俺は感じ取る。 そして、エリアの中央には、ボスモンスターがこちらを見下ろしているように感じた。 ……ス…

  • 015

     街道を進んでいると、新しいエリアに入ったのか、マッドゴーレムが複数体出るようになった。しかし、今のところ狩る理由がないので、無視して先に進む。 鈍足のマッドゴーレムは俺に追いつけない。それと、どうやらこのエリアには新しいモンスターがいなか…

  • 016

     「ここは……天国か?」 気が付けば、俺は豪華な部屋のベッドにいた。キングサイズの屋根付きであり、まるでふかふかの雲に包まれているような感覚だ。こんなに寝心地のいいベッドなんて知らない。 だめだ……眠い。眠りたい。でもだめ。試練が……けど、…

  • 017

     出てくる敵はウルフやゴブリンといった弱いモンスターばかりだ。所見ではホーンラビットという角の生えたウサギがいたが、強さに関して言えばウルフよりも弱く、ドロップアイテムはホーンラビットの肉というものだ。 そういえば、ドロップアイテムは本当に…

  • 018

     残り:15:19:22 酒場を出て残り時間を確認すると、あと十五時間と少しといったところだった。長いように見えて、あまり時間は残されてはいない。 あと十五時間、まずは先頭集団に追いつくことを目指した方がいいはずだ。 ちまちま数の少ないモン…


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