ある日、世界中に謎の少女たちが突如として現れ、人々を襲い始めた。
更に少女たちに噛まれてしまうと、その者たちも少女になってしまう。
まるでゾンビ映画のような光景、シスターハザードが発生した。
主人公氷崎凛也はこの世界で生き残るために、仲間と共に避難を開始する。
自分のストーカーで一応友人の喪不野鬱実。
後輩で料理部の岸辺夢香。その妹である岸辺瑠璃香。
奇しくも周囲は少女ばかりになってしまった。
そんな最中に襲ってくるのは、少女たち、シスターモンスター。
妹モンスターとお姉ちゃんモンスターが、凛也たちに迫る。
凛也たちは苦難の末にそれを退けながら、この狂った世界で生き抜いて行く。
※この作品はカクヨム様とアルファポリス様でも投稿されています。
第1章 001 始まりの日
ゾンビ映画って、一度は見たことあるよな? ああ、俺も見たことはある。 噛まれると、そいつもゾンビになっちまうんだ。 そして最後には、ゾンビよりも人間の方が恐ろしくなるのが定番だよな? え? なんで急にゾンビの話をしているかって? そりゃ、…
002 挑まれた勝負
「お姉ちゃんも往生際が悪いよ! でも、これでもうおしまい!」「ひっ!?」 一階に降りてくると、褐色の肌をした少女に馬乗りにされている女生徒が視界に入ってくる。 あれは!?「|岸辺《きしべ》さん!」「ひぅ!? ひょ、|氷帝《ひょうてい》先輩!…
003 個室で休憩
無事に褐色の少女を退けた俺は、ひとまず一階にある男子トイレで休憩することにした。 しかし何故かこの二人は女子トイレではなく、男子トイレに入ってくる。「……何で同じ個室に入ってくるんだよ……」「何だかドキドキするね?」「えっと……その……」…
004 学校から脱出
この学校は、もうだめかもしれないな……。 下駄箱を目指す俺たちは、一つの教室の前を屈んで通り過ぎる。 出入口のドアにある小さな窓からこっそり教室を覗くと、大勢の少女たちが授業を受けていた。 一クラスの男女比はおおよそ半々なので、全員が少女…
005 一息と新たな問題
おそらく鉄製であろう梯子を先に降りる俺。 そこでふと思う。 今上を見たら、夢香ちゃんの下着が見えるのではないかと。 いや、そんな馬鹿なことをしている場合じゃない。 そのまま上を見ること無く、俺は梯子を降りきった。「まじかよ……」「す、すご…
006 助けに行く理由
何を言っているんだろうか? そんな風な視線を俺は受ける。 確かに夢香ちゃんは危なくて、俺が大丈夫だとは言えない。 正直命は惜しいし、とても怖かった。 だが、この中で行くとすれば俺しかいない。 夢香ちゃんは運動が苦手だと以前聞いたことがある…
007 中学校までの道中
「凛也先輩……瑠理香を、よろしくお願いします」「ああ、任せておけ」 心配そうな表情を浮かべる夢香ちゃんに、俺は親指を立てて答える。「凛也君、あいつらに見つかったら逃げることよりも、臨機応変に対応するようにね?」 鬱実は心配しているのか、そう…
008 瑠理香ちゃん救出
そろそろ時間か。 茂みに隠れること15分。俺は団地エリアから中学校に向かい始める。 周囲に人影はない。 遠くには人影が見えるが、距離があるので大丈夫だろう。 よし、行くぞ。 俺は軽く息を吐くと、茂みから出て公道を進んでいく。 そして団地エ…
009 絶体絶命のピンチ
「みんな~この不審者さんはロリ―ちゃんが最初に見つけたんだから、勝手に手を出しちゃだめだよ~?」 自分のことをロリ―ちゃんと言う少女は、ニヤニヤ笑みを浮かべながら俺を指さす。「え~ずるいよ~」「おうぼーだー!」「あたしもお兄ちゃんとあそびた…
010 団地エリア
来る時は、団地の裏にある茂みの中を隠れて通ってきた。 だが今は背中に瑠理香ちゃんがいる。 当然、茂みの中を移動することは不可能だ。「瑠理香ちゃん、そろそろ歩けそうか?」「す、すみません。まだ無理そうです」 瑠理香ちゃんはそう言って申し訳な…
011 帰りの道中
団地エリアを無事に抜けると、公園エリアにやってくる。 行きの時は、公園に先ほどの女生と同じタイプの存在がベンチに座っていた。 しかし今はその女性すらいなくなり、とても閑散としている。 そういえば、漢田さんたちがこっちの方から来たことを俺は…
012 姉妹の再開
住宅エリアはその後何事もなく、裏山まで俺たちはやってくる。 そのころには瑠理香ちゃんも少しずつ歩けるようになり、ようやく背から降りた。 いや、鬱実がうるさいので、結果として降りてもらうしかなかったのだが。「お姉ちゃん!」「瑠理香!」 そし…
013 秘密基地を探検
少し遅い昼食を終えた俺たちは、今後の方針を決める前にこの秘密基地内を鬱実に案内してもらうことにした。 というのも、ここに来てから俺はこの秘密基地内が気になって仕方がない。「ふふ、凛也君にあたしのすべて、見せてあげるね」「ああ、秘密基地内の…
014 新たな情報
そういえば今更ながら、瑠理香ちゃんが何故音楽準備室にいたのか、とても気になった。 秘密基地の案内が終わり、丁度いいこともあって俺は瑠理香ちゃんに理由を聞いてみる。「えっと、音楽で使うリコーダーが何故か無くなっていて、学校のリコーダーを借り…
015 スターちゃん
ゼニスケは、スターちゃんと名乗る少女へと変わってしまった。 更に生放送を続けながら、画面に向けて手を振っている。 画面の端には、スターちゃんに興味がないのかのように、先ほどの女性が離れていくのが映っていた。『今日はちょうど手に持っているコ…
016 少女たちの正体
『一万円!? 氷帝様の便女お姉ちゃん? ありがとー!』 鬱実が投げ銭した一万円に、スターちゃんが目の色を変えて喜ぶ。 そして、それを見た視聴者からも反応があった。『氷帝様の便女www』『俺も氷帝様の便所になりたいw』『どうせ便女とかいいつ…
017 これからの問題
あの少女たちの正体がシスターモンスターという事実を知った俺たちは、改めて今後の方針を話し合うことにした。 場所は変わらず、メインルームにあるソファーだ。 俺の横には前回鬱実がいたが、今回は瑠理香ちゃんが座っている。 正面は夢香ちゃんであり…
018 長かった一日の終わり
「はぁ……」 今日は、人生で一番濃い一日だった。 俺は現在、数人が入れそうな大きな風呂に入っている。 もちろん、俺一人だけだ。 入浴の順番は鬱実、夢香ちゃん、瑠理香ちゃん、俺になっている。 入浴までにひと悶着あったが、そのことは忘れよう。 …
019 深夜の目覚め
深夜になり、目覚まし時計の音で俺は目を覚ます。 一度寝ている時に鬱実がやってきたこともあり、警戒して周囲を見渡した。 まあ、流石に二度目はないか。 俺はあくびをして体を伸ばすと、着替えて部屋をでる。 ちなみに寝巻はいつも使っているものと同…
020 暗闇の道中
よし、外には誰もいなさそうだ。 あれからメインルームに戻った後、俺が最初に外へと続く梯子を上り周囲を確認した。 三人はスカートなので、俺が後に回る訳にはいかない。 そうして暗い山の中に出ると、懐中電灯を点ける。 最初は光で見つかることを危…
021 深夜のコンビニ
「いらっしゃいませー。あら? 弟くんじゃない! こんな深夜に来るなんて、いったいどうしたの?」 コンビニに入店すると、早速シスターモンスターが話しかけてくる。 俺のことを弟くんと呼ぶので、おそらくタイプはお姉ちゃんモンスターということだろう…
022 好きになった理由
コンビニでのひと悶着を終えた後、俺たちは秘密基地へと帰還する。 帰り道は買った荷物があるため当然行きよりも時間がかかった。 しかしそれでもシスターモンスターに遭遇することはなく、警戒しすぎた分逆に疲労が溜まってしまう。 秘密基地のある山を…
第2章 023 お兄ちゃん保護法
あれから、数週間が経過した。 気温も上がり、五月も半ばである。 俺たちは相変わらず秘密基地で生活をしつつ、たまにコンビニへと買い出しに行く。 危険はあるが、今のところ全員無事だ。 また金銭的な問題だが、シスターモンスターとなっている両親か…
024 再び日中に外へ
「凛也君、おかえりなさい」「おかえりなさい! 無事でなによりです」「わぁ、大量ですね!」「ああ、今戻った」 秘密基地に戻ってくると、三人が出迎えてくれる。 俺は早速小学校で受け取った食べ物を確認することにした。 四人でキッチンに向かい、中央…
025 生還を果たす
何故鬱実がここにいるのか、そしてどうやってシスターモンスターたちを追い払ったのか理解できない。 しかし、俺を助けてくれたことは事実だった。「帰りましょう?」「あ、ああ……」 何か言われるかと思ったが、鬱実はそれだけ言うと、俺の持っている荷…
026 弟党
あの日中に外出した日から数週間経った。 俺たちは、相変わらず秘密基地で暮らしている。 食料の配給には、あれ以来行ってはいない。 しかし、全くの補給無しでは厳しいため、度々深夜のコンビニへは行っている。 お兄ちゃん保護法によって、男性の生存…
027 襲った代償
「う、鬱実さん! 何故ここに!? 確かやることがあると言って、部屋に戻っていたはずでは!?」 鬱実の登場に、夢香ちゃんが焦りだす。「ふふ、この秘密基地はあたしのよ? 凛也君の寝取られ気配にあたしが気が付かないはずがないわ! はぁはぁはぁ」 …
028 弟くん収穫祭
金曜日の0時、弟くん収穫祭が始まった。 といっても、深夜なのでまだ大きな動きはない。 もちろん、我慢できないシスターモンスターたちは動いているようだが、この秘密基地を狙う者は今のところいなかった。 とりあえず俺たちは、順番に見張りにつく。…
029 現れるロリ―ちゃん
朝からちょっとしたハプニングがあったが、軽く朝食を食べて一息ついた。 相変わらずタブレット端末から調べた外の情報は悲惨だが、この秘密基地は至って平和だ。 しかし、気を抜くことはできない。 シスターモンスターがやってくれば、基本的に耐えるし…
030 絶望と後悔
弟くん収穫祭の初日は、あれ以降何事もなく終わった。 そして深夜の時間帯も誰か来ることが無く、現在は二日目の朝9時である。 平和だが、これで終わりだとは思えない。 いつシスターモンスターが来てもいいように、俺たちは待機している。 ちなみに、…
031 鬱実の正体【完】
なんだよこれ……宇宙船? だよな? え? どういうことだ? 俺は現実が受け入れられず、棒立ちになってしまう。 それは夢香ちゃんと瑠理香ちゃんも同じようで、二人して固まっていた。「驚いたわよね? そう、これは宇宙船よ」「ッ、な、なんで宇宙船…