1.『あらすじ』
「100年読み継がれる名作」シリーズ最新刊
生と死を見つめ、“ほんとうの幸”を問いつづけた宮沢賢治。
未完の傑作「銀河鉄道の夜」(新版:第四次原稿)をはじめ、名作6話と詩1編を収録した童話集。
人間の真理を紡いだ多彩な童話を、日下明が美しく幻想的な絵で贈ります。
巻末には各話の<解説>と<宮沢賢治と「銀河鉄道の夜」>(写真付き)を掲載。
漢字はすべてふりがな付き。子どもから大人まで、繰り返し味わえる一冊です。引用:世界文化社グループ
※これより下の文章にはネタバレが含まれるので注意してください。
2-1.『レビュー』
文豪宮沢賢治の作品の中からいくつかピックアップして作られたのが、この童話集だ。
宮沢賢治の作品六作と詩が一編まとめられている。
他にも、宮沢賢治の年譜と銀河鉄道の夜についての考察や、作品一つ一つの解説もついているので、また違った視点から楽しむこともできるだろう。
童話集には、以下の作品がまとめられている。
・猫の事務所
事務所で働く猫たち。その中の一匹であるかま猫は、勘違いからいじめや無視をされてしまいます。
しかし、それを見ていた獅子によって、事務所が閉鎖されてしまうというお話。
・なめとこ山の熊
猟師の小十郎は、生きるために仕方なく熊を仕留めるが、それが間違いだと気づく。
しかし自然の摂理故に、最後は熊に殺されてしまうお話。
・イチョウの実
イチョウの実を子供に例えて、旅立ち前のイチョウの実たちが互いに心配したり、旅立ちを怖がったりするお話。
・山男の四月
ある男に騙されて薬を飲むと、六神丸という薬にされてしまう。
周囲には、似たように騙されて薬にされてしまった人々がいた。
それを助けるべく行動し始めるが、最後は夢落ちというお話。
・鳥の北斗七星
カラスの群れを軍隊に例えて、他のカラスの群れと戦争を始める。
戦争に行くカラス大尉が、許嫁に別れを告げて戦いに行くお話。
・銀河鉄道の夜
ジョバンニが銀河鉄道という幻想世界に迷い込んでしまう。
そこに乗車するのは、一風変わった人たち。
この物語で伝えたいことは、自分の命を犠牲にしても、他者を救いたという気持である。
・星めぐりの歌
詩でもあり、宮沢賢治が作詞作曲した曲でもある。
文学的想像力と、科学的知識が合わさった歌。
2-2.『感想』
学生の頃、一度は宮沢賢治さんの作品を目にしますよね。
あの頃を懐かしみながら、今になって宮沢賢治さんの作品を読むと、また違った視点で読むことができます。
また童謡のように、色々と考えさせられました。
宮沢賢治さんが、この作品で何を伝えたかったのだろうとか、どういう時代背景で書いていたかなどですね。
宮沢賢治さんは、1933年に37才で無くなっています。急性肺炎でした。
若くして亡くなった文豪宮沢賢治さんの生きた時代は、まさに戦争の時代です。
そうした時代に、この作品たちは書かれたわけですね。
この童話集のメインであり、宮沢賢治さんの代表作の一つ『銀河鉄道の夜』は、生前未発表作品です。
生前およそ十年近くにわたり、手を加えられた作品だそうですね。
未完とのことですが、十分読み応えがあり、切りのいいところまでは書かれています。
そもそも未完の理由は、生前に宮沢賢治さんが改稿し続けていたからであり、本当の完成が亡くなったことで分からなくなったからです。
それはそうと銀河鉄道の夜は、当然ですが文体が素晴らしく、幻想的な世界観に読んでいて魅了されました。
普段ライトノベルや漫画ばかり読んでいますが、こうした文豪の作品を読むことも大事ですね。
宮沢賢治さんの銀河鉄道の夜といった100年読み継がれる名作童話集に興味がある方は、是非購入を検討してみてください。
3.『今回のレビュー書籍』
- タイトル:宮沢賢治童話集 猫の事務所・銀河鉄道の夜など (100年読み継がれる名作)
- 著者:宮沢賢治
- イラスト:日下明
- 監修:小埜裕二
- 初版発行:2022年12月24日
- 定価:1,430円(税込)
- 発行:世界文化社ブックス
- シリーズ:100年読み継がれる名作
よろしければ以下のサイトより購入していただけると幸いです。
4.『関連書籍』
- 宮沢賢治童話集 注文の多い料理店・セロひきのゴーシュなど (100年読み継がれる名作)
- グリム童話集 赤ずきん・ラプンツェルなど (100年読み継がれる名作)
- 新美南吉童話集 ごんぎつね・手ぶくろを買いに など (100年読み継がれる名作)
- アンデルセン童話集 おやゆび姫・人魚姫など (100年読み継がれる名作)
- 小川未明童話集 赤いろうそくと人魚・野ばらなど (100年読み継がれる名作)
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